1．幽霊の兄ちゃんと大学生の私 (ページ21)

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第20話ページ21

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ただのイタズラだとニュースで言われていた“紙飛行機野郎”は、思っていたよりも深刻なものだと判明した。

「確かニュースでは、ばら撒かれた紙飛行機が、一昨日と昨日の朝に都内で100機近く回収されたと報道していたかと…」

「じゃあ、もしこの2日で紙飛行機に書かれた暗号が違ったら、SOSを出した人の居場所を絞り込むことができるってこと…？」

「…えぇ、そういうことです。」

私の指摘に沖矢さんはニヤリと笑った後、ニュースを見た時はただのイタズラだと軽視していたと言う。
いや、アレは誰だって最初はイタズラだって思うよ。ニュースの時点で気付くとかどんな超人だ。

「ちなみにこの紙飛行機は、いつ君の家の庭に？」

「見つけたのは一昨日の朝だけど…その前に教えて？どうしてその紙飛行機がSOSなの？」

園子ちゃんの疑問には私も同感。これがSOSってどうしてわかったんだろう…少なくとも…

「その模様が暗号を示してるってのはわかるけど…」

「いい着眼点です、Aさん。」
(イケメンに名前で呼ばれた。どんなリップサービスだよ(？))

沖矢さんは紙飛行機を広げ見せながら、私達に説明を始める。

「ホラ、丸の大きさは表も裏もほぼ一緒で、棒の長さは3本とも丸3個分。そして丸と丸の間隔は丁度丸1個分空いている。」

「ほ、ホントだ。何かの暗号みたい…」

「そう、これは通信手段としてよく使われていたモールス符号。それに用いる丸は短点、棒は長点を表しているんです。」

モールス…符号じゃないけど、信号なら兄ちゃんとあの人(・・・)が遊びでハマってたなぁ…何かカッコいいとか言ってた気がする。

…そういえば元気かな…

「通常はこの通り、長点を横に寝かせて表記するんですが、列がズレている。
恐らくこれは丸3つと棒3本を分けて盾に結んでくれというメッセージ、」
「【モールス符号で短点3つはS、長点3つはO…

つまり、SOS！救助を求めるための遭難信号になるってわけさ】！

…って、メールに書いてあるんだけど…」

沖矢さんの言葉に続くように、携帯をずっと見ていた蘭ちゃんが告げた。
…って、何で蘭ちゃんこっちの話より携帯ずっと見てるんだろと思ってたら…何気に気になってたんだよね。

「嘘！新一君も解いちゃったの？」

(新一君…ここの家主で高校生探偵の？何で？)

新一君の名前を聞いて反応したのは私だけでなく

「新一君？」

沖矢さんもだった。