第11話 ページ12
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兄ちゃんに冷蔵庫の中身が底を尽きそうだから、と買い物を頼まれた。
当然買い物にであるとなると、外に出ないといけないわけで
その、外で…
「待てぇー!!!!」
初めての買い物ならぬ、初めてのひったくりに合って、犯人を追いかけているところである。
足の速さには自信があるから追いつくだろうと踏んでいたけど…小太りの癖に足速いなアイツ!!
走っても走ってもひったくりとの距離は中々縮まらない。あーもう誰かあいつ捕まえてよ!!
久々に全速力で走っている上、私が得意なのは短距離走。体力はどんどん削られていき、走る速さも徐々に落ちてきた。
あの中にはお兄ちゃん名義で作ってくれたクレジットカードが!!
ひったくりでお兄ちゃんに迷惑かけたくない!!
その時だった。奴の目の前を1人の男性が通りかかったのは。
もうこの手段しかない!!
「すいません!!その小太りを捕まえてー!!」
「どけぇぇぇぇぇぇ!!!」
「?、…おや、」
ひったくりがその男性に突進していく。
刹那、
「ぉわっ!?」
ひったくりが視界から消えた。
いや、足を引っかけられてこけたんだ。目の前を通りがかった男性に、足を引っかけられて。
その拍子に奴が私の鞄から手を離し、鞄が地面に転がった。
「てめっ、何しやがる!!」
「あ、危ない!」
こけた後すぐ起き上がったのか、奴が男性に殴りかかろうとする。
だけど、
「っい゙!?」
「何しやがる…ですか。それこそ貴方が何をされているんですか?女性の鞄をひったくったりして。
もしこのまま逃げたり、私に殴りかかろうものなら相手をしますけど…どうします?」
その男性は、ピンと伸ばした指先を相手の目の先で寸止めしていた。更には片目をパッチリ開き、瞳孔が開いている。
それが十分な脅しとなり、奴は地面にへたり込んでしまった。
こうして鞄を取り返すだけでなく、ひったくりを警察に突き出すことができたわけである。
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作者名:ば | 作成日時:2022年7月4日 1時