第113話 ページ16
・
Aが今回の試験で問われているのは、自身の限界値を見誤らないで挑戦すること。そのことについては、期末の演習試験の会議でも話されていた。
「次に身十伸ですが、欠点らしい欠点が見られない。ゴムという単純な個性を上手く応用しているし、戦闘においても爆豪と同じく天才型、動体視力も良し。交友関係も良好ってところでしょうか…」
「今年の1-Aは奇数よ。身十伸さんのペアはどうするつもり？」
「誰と組んでも彼女は臨機応変に対応するでしょうね…」
「司令塔ではないがいたら安心するタイプってところだな」
「いっそのこと1人でいんじゃね？」
教師陣がウンウン唸る中、珍しく会議に参加している彼─ローを相澤は静かに見つめる。視線に気付いているだろうに、ローは依然足を組み俯いている状態だ。
ふいと視線を逸らし、相澤は資料を見ながら再び口を開いた。
「…ですが、あいつにも課題はある。それは良くも悪くも自分の限界値を熟知していることです」
「それの何がいけないのよ」
「…成程。己の限界値を知っているからこそ、それ以上のことを望まない。今あるものを最大限に生かすだけという、ある意味Pulls Ultraをしないということさ」
相澤と根津の言葉に会議室が少々ざわつく。言われてみれば確かに。
USJ、雄英体育祭…それぞれの場所で彼女はギア2やギア3という強力な技を見せてきたが、それはあくまでも“最終手段”なだけで常時発動できるような技ではない。
実際、ヒーロー基礎学では何度も戦闘を見据えた訓練を行ってきているが、それらの技を彼女は見せてこなかった。
彼女の意外な落とし穴に全員が納得したところで、じゃあ誰と対戦するかという話に逆戻り。限界突破なら緑谷と爆豪の相手をするオールマイトが妥当だろうが、彼には活動限界時間がある。相澤の個性抹消は異形型(？)である彼女は対象外だし…
再び教師たちが唸りかけたところで、1人の男が静かに立ち上がった。
「A屋は俺がやる」
『！』
先程まで喋りもしなかったローの発言に、その場にいるほとんどの教師が目を剥いた。
冷静に彼を見据えているのは相澤と根津の2人のみ。根津が彼に問いかける。
「珍しいのさ、君から言い出すなんて。…何か理由でもあるのかい？」
「テメェらに言う義理はねぇ。ただ俺個人あいつに思うところがあるだけだ
言っておくが、俺は俺のやり方で試験とやらをする。その条件を呑めねぇならこの話はナシだ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 596人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みぃ - 更新再開！嬉しすぎます！！最推しの活躍に死にかけてます。続きが楽しみです！ (12月16日 9時) (
レス) id: 8d2c2035a1 (このIDを非表示/違反報告)
Ayaka(プロフ) - 更新再開ありがとうございます！もう一つのヒロアカ作品の更新再開も待ってます。無理をせずに更新していただけるとありがたいです！続きも楽しみに待ってます^_^ (11月30日 19時) (レス) id: de4c1d5b4a (このIDを非表示/違反報告)
Ree(プロフ) - 更新再開嬉しいです！ありがとうございます！ (11月24日 13時) (レス) @page31 id: dbef1d39c6 (このIDを非表示/違反報告)
トーン - 更新気長に待ってます。一気読みしてしまいました。すごく面白かったです！この設定大好き(*≧∀≦*) (2023年5月5日 2時) (レス) @page28 id: c13dab87c8 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - とっても面白くて大好きです！更新待ってます！ (2023年2月10日 5時) (レス) @page24 id: 6b7ef0d566 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ば
| 作成日時：2022年11月13日 18時
