加茂さん家の天与呪縛ちゃん

参拾伍 ページ37

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涙と共に溢れ出す殺気。

俊敏に【鵺】を出そうとした恵の前に移動した私は、草薙を盾に東堂の殴りを緩和させる。







ﾄﾞｶﾞｯ!!!








緩和させたとしても、恵と一緒に吹っ飛ばされたが。









『ｹﾞﾎｯｺﾞﾎ…あー、危うく完治した肋またいくかと思った。

恵ちゃん生きてる〜?』


「ｹﾞﾎｯ 悪い。

Aは」


『私は大丈夫。

にしてもさっきの凄いねぇ…本当に18歳?彼。』








ズンズンと此方へ歩いてくる東堂を、少し冷や汗をかきながら見やる。








「一目見た時から分かってた。

あぁコイツは退屈だと。

でも人を見た目だけで判断しちゃあいけないよな。


だからわざわざ質問したのに

お前は俺の優しさを踏み躙ったんだ。」



『わぁ脳大丈夫かな?アイツ。

MRI検査一度して来いよ。』


「もしかして頭の中身までパイナップルなのか?」









草薙の鞘と刀身を紐で括りつけて抜刀しないよう固定しつつ、私は恵に話しかける。









『私さぁ、話でしか聞いたことないけど

コイツ去年の“百鬼夜行”で大暴れしたっていう東堂でしょ?』


「あぁ…京都の夜行に現れた1級呪霊5体、特級呪霊1体を祓ったっていうな。

特級に勝てる1級術師はいるにはいるが…



アンタ、術式使わないんだってな。」


「ん?あぁ あの噂はガセだ。

特級相手には使ったぞ。」








いやそれ1級には使ってないって事だよね?

スゴイな今の呪術師。








「安心したよ!!」








ヤケクソと言わんばかりに言い放った恵は、【鵺】と【蝦蟇】を組み合わせた式神を出す。








【不知井底】








『…恵、東堂は私が相手する。

援護よろしくね。』


「あぁ、」








分かった、とでも言いたかったのだろう。

恵が言い切る前に式神が何体か破壊され、いつの間にか背後に東堂が回っている。


…マジか、あれで全速じゃないんかい!!









「薄っぺらいんだよ

体も女の好みも。」









恵をいとも簡単に抱き上げ、そのままプロレス技を決める東堂。

加勢しようとするも、相手の移動スピードが尋常じゃない。

いつの間にか恵は学校の柱へと体を押し付けられていた。








『恵!!』


「終わりじゃないぞ。」


『!!』








アイツまさかあのまま…!!





相手のやろうとしていたことを予測し、私は建物の上へと急いで移動した。

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