2．幽霊の兄ちゃんと大学生の私 (ページ4)

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第45話ページ4

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金髪褐色肌の碧眼…何かすっごい既視感。

「A？どうしたのそんな難しそうな顔して。」

「あ、いや…その容姿聞いてちょっと心当たり…」「本当に！？」
「食いつきスゴ。目がガチじゃん。」

勢いよく席を立ち、身を乗り出す琴音に私はドウドウと抑える。
心当たりあるっつっても、確信はないけど…

「正直その人かどうか分かんないし、最後に会ったのは小6だしさ…それに世界には3人似た人がいるっていうしね。」

「それもそっか…名前聞いても答えてくれなかったし、これはもう奇跡にかけるしか…」

「文学部のマドンナを落とすイケメンって何者…？」

「頭を悩ませていたストーカーを撃退してくれた上、女性の対応も完璧、更に秘密主義っていう少しミステリアスなとこを見せられたら…ってところじゃない？私には分からないけど。」

「わぁなんて完璧なイケメンなんだ。」

琴音の表情はまさに恋する乙女。ありゃ完全に落とされたらしい。罪な人よな、そのイケメン…

琴音が珍しくメロメロしている姿に、私と千恵美は溜息をこぼす。

「ストーカーのことで相談してきたのが嘘みたい。」

「もはや忘れてるよストーカーの事。脳内はあのイケメンで大半を占めてる気がする。」

「恋は盲目…よく言ったもんだわ。」

「全くよ。」

私達は顔を見合わせてからもう一度琴音を見やる。

「…？、2人共どうしたの？」

『…いや、楽しそうで何よりですわ。』

また、千恵美と一緒に溜息をこぼしたのだった。

～・～・～・～・～

今日もポアロで閉店まで働き、家路につく。

部屋の扉を開ければ、カレーの良い匂いが鼻腔を擽った。
やった、今日はカレーだとウキウキしながら洗面所で手を洗い、リビングに向かう。

「ただいまー。」

「おかえり。」

そうすれば、死んで幽霊になっちゃった兄ちゃん─諸伏景光から返事が返ってきた。
この生活も早いもので、始まってから1ヶ月と1週間ほど過ぎている。

「今日もお疲れ様。ご飯できてるぞ。」

「やった。あ、チーズと生卵は…」

「もう乗せてあるぞ。」

「流石兄ちゃん。私のことよく理解してる。」

「お前の兄貴だからな。」

そんな言い合いをしながら、私達は食事を前に手を合わす。

『いただきます。』