6話 ページ7
No side
「「状況設定?」」
獅恩の言葉に葉隠と尾白は頭をかしげた
『オールマイトが提示した状況設定ではヴィランが複数人だったろ?
例え俺の個性が対人戦に特化していたとしても、複数人で仕掛けるとしたら何かしら協力をしているはず』
獅恩は2人が理解したのを見て話を続ける
『ヴィランの思考も学ぼう、と言ってたからそこらへんも注意して考えなきゃいけないんだと思う
例えば俺に集中させといて2人が奇襲をかける、とかね
まぁこれは俺の個性を相手が知ってる場合だけど』
練習を練習と思わない
そんな言葉があるが、この場には似合わないだろう
獅恩が言った事はもちろん理にかなっているが授業評価も視野に入れている
つまり練習だから許される事
ヴィラン役だからとしょうがない部分もあるが、それでもやはり獅恩の言葉には矛盾が生まれる
実際を想像しているのに授業評価を気にしてる
その大きな矛盾に獅恩本人だけは気づいていた
「なるほど…確かにそうだね」
「そこまで頭回らなかったよ!」
2人の素直な肯定に、獅恩は少し困ったように笑い立ち上がる
『俺たちは2戦目、1戦目を見てまた作戦をたてよう』
1戦目のAグループ対Dグループの作戦タイムが丁度終わった所で話を自然に逸らし、座っていた2人に手を差し出す
やはり本人にも罪悪感、というものがあるのだろうか
言葉の重要さを個性として認識している獅恩は人一倍言葉に敏感である
話している本人でさえ気づかない程の矛盾等を気づく事ができる
それは言霊という個性を持つ者としての宿命とでも言えるだろう
「わぁイケメンだ」
「イケメンだ」
話が完全に逸れたところで、獅恩はやっと年相応の笑みを浮かべる
だろ?、と返すと同時にオールマイトがスタート合図を出した
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作者名：ケイジ白亜 | 作成日時：2021年10月15日 22時
