猟奇的な同期 ３ 【完結】

１１２ 北山side ページ15

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余裕なんてなかった。



何言ってんだ、こいつ、って。



さっき朱音から言われた言葉と重なって
俺の愛情表現が足りてないのか、とか俺の気持ち伝わってなかったのか、ってわけわかんなくなる。




おまえが離れんなっつったんだろ？
やっさんみたいにどっか行っちゃうのが怖かったんじゃねーのかよ？




あんなに泣きじゃくって俺にしがみついてたのはなんだったんだよ？



俺はめちゃくちゃ嬉しかったよ。
全てを預けてくれようとするAとずっと一緒にいてやるって決め手になったのがその時だったんだよ。



それなのに･･･




引く？
重い？



･･････俺の事、言ってんの？



俺一人舞い上がってただけ？



朱音の時みたいに、俺は彼女の事何一つわかんねーってこと？









あー、ダメだ。
頭も体も疲れきってるし、なんか、自信喪失。
もう話す気力ねーわ。








「あの、北山？」





いまだ、俺をそう呼ぶAに更にイラついた。




「つかさ、北山ってなんだよ、俺彼氏なんだろ？いい加減会社の延長上みたいなのやめろよっ、元彼は名前で呼んでるくせになんだよっ、そんなに俺と距離取りたいわけ？」


「いや、それは･･･そうじゃなくて、って、なんでそんな怒ってるの？」


「うっせー！もう寝るっ、おまえも寝ろっ、つか俺スミレと寝るっ、」





今、一緒にいたくなかった。
冷静になんないと。
そう思えば思うほどイラついて虚しくて。





＿＿＿＿＿好きな女一人、大事に出来ないのよ





さっきの朱音の言葉が重く突き刺さる。




振られたと思ってたのに
俺が原因だったなんて。



Aの気持ちだって今全然わかんねーし。



ほんとに俺とずっといる、とかうざくなってきたのかも。
元々一人で生きてくって言ってた奴だし
Aも冷静になったらそっちの方がいい、とか思っちゃったわけ？




リビングに行っていつもAが布団を敷いて寝てた所に布団を敷く。



･･･今日はベットで俺と寝てくれようとしてたのに。



スミレは呑気な顔してソファで気持ち良さそうに寝てるし。



でも･･･スミレを連れて来てくれた。
最初から俺を頼ってくれたじゃん。



･･･ちゃんと、俺の彼女になってくれたのに
なんでこんな事になっちまうんだよ･･･、




項垂れた所で寝室のドアが遠慮がちに開いた。

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