8話 ページ10
「翔陽、Aはおれとクロの幼馴染。高3。」
「せっ先輩…!!」
自分と似たような目線の女子。
孤爪のように無表情でも黒尾のように胡散臭い笑みを浮かべているわけではない。
「えっと、研磨に紹介された通り倉名Aです。バレー部とはあんま関係ないんですけど…よろしくお願いします?」
少しはにかむような笑顔で自己紹介する倉名。
「俺、日向翔陽です!!」
「チビちゃんは日向って言うんだ。頑張ってね。」
「う゛っ…その呼び方音駒のキャプテンと同じ…。」
「…ごめんね!!えっと…日向くん!!」
「それはそれで…」
「敬語とか使わなくていいよ?堅苦しいし、直接的な関係ができるわけでもないし、ね?」
「うぉぉぉぉ!!研磨と同じこと言ってる…!!やっぱ幼馴染って似るんだな!!」
「そうかな?」
「こら、人に迷惑をかけるんじゃない!!」
すいませんと言いながら日向の頭を小突く人。
お父さん感が溢れ出てる…この人がこの学校のキャプテン…?
「すみません、俺達今日からここのバレー部と一緒に練習させてもらいます、宮城の烏野高校バレー部です。俺はキャプテンの澤村大地です。」
「いえ、問題ないです。私は音駒高校バドミントン部キャプテンです。ようこそ、音駒高校へ。」
握手を交わす両キャプテン。
澤村と黒尾のようにギシギシというような悪趣ではなく、花綻ぶような柔らかい握手。
「おーいたいた。澤村ー!!って倉名?」
ひょこっと顔を出した黒尾。
そこに倉名がいるとは思ってた由もなく久しぶりに直視した片思い相手がいつの間にか大人っぽくなったと見えた。
それは近すぎる距離から気付けなかった。
幼馴染の倉名は女性なのだ、と。
ついに黒尾は気付いたのだ。
「じゃあ私戻らないと。ではみなさんさよならー!!」
逃げるように部活に戻ろうとする倉名。
「今日から試合づくしなんでしょ?羨まし。頑張ってねー!!」
黒尾の方を軽く叩いてそのまま走っていく倉名。
「あぁ。」
久しぶりに話せた2人。
両者とも胸の蟠りは溜まりづけていた。
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作者名:ミューゼス | 作成日時:2017年6月24日 22時