30話【最終話】 ページ39
次の日の朝、いつも通り来た朝の日が顔を覗かせるとともに黒尾と倉名は家を出た。
共に今日は倉名家に人が戻って来る日だ。
｢おばさん、おじさん、ありがとうございました!!｣
｢そろそろ研磨が…きたきた。｣
そっと手が重なり孤爪家から出てくる研磨を見る。彼は二人を見るとすぐにすべてがわかったとでも言うように軽く微笑んだように見えた。
｢やっとだね、おめでと。｣
｢…ありがと。｣
そのままいつも通りに過ごしていたつもりだが二人から溢れ出る幸せオーラに気づかない人は多くなく、音駒のメンバー達はやっとかと安堵の息を漏らしていた。
｢見えてたのか。｣
｢及川さんにはお見通しなのです。｣
｢なんかうぜぇ。｣バコッ
｢ひどっ!?｣
｢ははっ！大変だねぇ及川くん！｣
｢はぁ!?あんたらがなかなかくっつかないから俺こんなことなってるんだけどぉ!?｣
｢でもしてくれたから、感謝してる！｣
｢まぁ及川はいいから、おめでとな。｣
｢岩泉君、ありがとう!!｣
｢Aさんおめでとうございます！｣
｢日向!!｣
｢おめでと…ござっ…｣
猛突進してくる日向となんとも言えない顔の影山。思わず倉名はふっと笑う。
｢ほらほら、練習始まるよ？
日向、上手く影山くんのをドンピシャ20回決められたら上げたげる。｣
｢マジっすか!!俺、頑張ります!!｣
｢お、俺も上げてもらおうかな。及川じゃねぇのも始めてのセッターのも打ってみてーしな。｣
｢なら俺もー!!!!いいよなぁ!!あかーし!!｣
｢だいじょうぶかなぁ…まぁいいですよ！
相手しましょう！｣
これは懐かしい。早くボールに触りたくてうずうずしてる。
｢A。｣
｢鉄朗…大丈夫、私今ね、すごいバレーがしたいの。｣
｢俺にも上げてくれ。それだけ言いたかったんだ!!｣
クシャッと笑う黒尾。
答えるように心躍る倉名は大きく頷きマネージャー業へとかけて言った。
お互いの名前呼びに周りがはやし立てる。
｢オレとAなんてずっと前から名前呼びだったのにクロったらビビってずっと名字。｣
｢まぁいろいろあったけど、やっとこの距離に収まれたんだ。邪魔すんな。｣
｢黒尾ー、お前学年でも結構もう回ってきてるぜー？｣
｢うっそ、夜久！言っとけ、Aはもう離さねーって!!｣
｢お熱いことで！｣
｢よーし！じゃあそろそろ合宿二日目、始めよーぜ!!｣
夏は…いや、彼らの青い春は始まったばかりだ。
Fin.
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作者名：ミューゼス | 作成日時：2017年6月24日 22時
