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22話【過去】 ページ31

月日は過ぎ倉名と黒尾が桜吹雪の下ランドセルを下ろし真新しい制服に袖を通す時、彼等の胸に輝く校章は違った。

倉名はジュニアチームでも類まれなる好成績をたたき出しそのまま頭も要領もよかったため私立女子中の美華学園中に合格した。
一方黒尾は大方の小学校のメンバーと共に地元の公立へと進学した。



「今日はここまでー!!」


「ありがとうございました!!」



「今日は解散!!各自ストレッチしとくように!!」


「はい!!お疲れ様でした!!ありがとうございます!!」



各自が目の回るような新生活に慣れてきた頃、二人は再開した。偶然にも自主練帰りのバスが同じだったのだ。



「え、黒尾!?」


「倉名!?」



偶然の再開から二人はいつも同じ時間の決まったバスの中で会うようになった。



「今年こそは全中に進むって先輩達が息巻いててさー凄いんだよ。」


「さすが名門、目指すとこがすげぇな!!」


「でね、もしかしたらセッターでレギュラー取れるかもって、言われたの。」


「すげぇじゃん、そのまま先輩のポジション奪ってやれ!!」


「すごい言い方。けどそうだね!!奪えるぐらいうまくならなきゃ!!そう言えば音駒中は?」


「万年地方大会敗退だぜ?もっとグワッてくる試合がしてーよ。」


「グワッて何よそれー!!」


月日は流れて、また一年がたった。

その年の美華学園中は惜しくも東京最終予選で代表には選ばれなかった。しかし、言葉通り先輩からポジションを奪い取った倉名は見事ベストセッター賞を獲得しあっという間に注目選手となっていた。

またまた月日は流れて彼等は三年生になった。
倉名はまさに順風満帆。今年にはユースの招集がかかるとまで噂されていた。
黒尾もそんな幼馴染を誇らしく感じていた。

しかしそれらはすぐに音を立て崩れ落ちていく、あまりにも脆いものだった。

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作者名:ミューゼス | 作成日時:2017年6月24日 22時

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