20話 ページ27
そして迎えた合宿1日目。
倉名は黒尾の中学時代の一番小さな服を借りて対面式に向かった。
選手達の自己紹介がひと通り終わりマネージャーも進んでいき最後の一人になった倉名。
｢最後になんだがこいつは正式なマネじゃねぇ。俺らの幼馴染で手伝いに来てくれてるやつなんだ。｣
頭に手を乗っけられ若干顔を赤くして手を払って姿勢を整え前を向く。
｢えっと、黒尾の言ったとおりの、倉名Aです。バレーは一応経験者なんで合宿をできるだけお手伝いさせていただきます。よろしくお願いします！｣
そのままの流れでその日のメニュー、試合練が各自始まって行った。
参加校は東京からは音駒、梟谷、宮城からは烏野、青葉城西。体育館がバレー部独占なのですべての学校がコートに入る。
｢倉名さん、経験者なんだね。｣
｢わっ！えっと清水さんだよね。うん！高校ではやってないんだけど中学ではセッター。あと名前でいいよー!!｣
持ち前の人懐っこさで笑顔で対応する倉名に連られて清水も笑う。
｢なら私も名前でいいよ。Aちゃん。そっか、セッターか。｣
｢まぁねー。…うん。｣
一瞬陰のある顔から清水は何かを感じ取りあえて何も聞かなかった。
｢あっ、ねぇねぇ!!｣
｢雀田さん！どうしたの？｣
各校のタオルとドリンクの準備が終わりマネージャー達は話に花を咲かしていた。
｢いやだなーかおりでいいよ！あのさ、出身中学ってもしかして…｣
｢あっ…
一瞬戸惑いを見せても笑顔で対応する倉名。
｢Aさん、中学の時ベストセッター賞3連で取ったんですよね。｣
｢あ、影山くん。えぇ、けどもう昔の話。あなただってあんまり昔のこと思い出したくないでしょう？言うことがあるとすれば…あなたと同じよ。｣
｢!?｣
話を聞いていた数人が空気が固まりそれに気付いて黒尾が近付く。
｢まぁ全部が一緒ってわけじゃないけどね。女子ってほんと怖かったよ、特に嫉妬に狂った奴らは何をするかわかんない。｣
すっと座った目をしてゾッとしていると黒尾が倉名の腕をつかむ。
｢倉名。｣
｢黒尾、私は大丈夫。ね？｣
｢無理すんなって…俺が連れてきちまったようなもんだしよ…。｣
｢大丈夫。ほら、試合終わったんだったらちゃんと休憩して!!｣
誰も知らない、｢女王様｣の過去。
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作者名：ミューゼス | 作成日時：2017年6月24日 22時
