19話 ページ21
「残念でしたー倉名は音駒だけのマネになるんですー。」
倉名の肩に顎を乗せ抱きしめる独占欲の塊、黒尾が乱入してくる。
その欲を早々に察知した澤村は早く二人が結ばれるように、との願い半分まだ僅かに残る幼い悪戯心半分で黒尾を急かす。
「合宿、青葉城西の及川とか手が早いからなぁ…気をつけといた方がいいぞ。」
「!?あんにゃろー…及川なんかに近づくなよ!?倉名!!」
「うっうるさい黒尾!!耳元で叫ばないでよもー。」
顎を乗せたまま叫ぶ黒尾に耳を塞ぐ倉名。
必死な黒尾が面白くて澤村はさらに掻き立てた。
「ちなみに青葉城西もマネいねーし、経験者のマネなんて引く手数多だろーなー。」
「なっ、誰がどう言おうとも倉名は音駒のマネだ。どこにも渡さねー!!」
「?…私正式なマネじゃない。」
ヤケになってギュウギュウと抱き締めてくる黒尾に疑問を抱く倉名。
つい数ヶ月前までならただのスキンシップの一環だと何も感じていなかっただろう。
が、お互い一方通行であれ惚れ込んでいる2人は全力のアピールと期待に満ち溢れていた。
「何がともあれ、すっごく楽しみだなー!!」
今度は最大限気を張り巡らせて本音が滑り落ちないように気をつけた倉名。
バレーをしている時真剣な表情を見せる黒尾が好きで中学の時や高校になってからも休み時間、こっそりと見ていたのが今回は堂々と見れるとなると楽しみでならない。これが倉名の本音だとは誰も知るよしがない。
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作者名:ミューゼス | 作成日時:2017年6月24日 22時