16話 ページ18
「いいのか?」
「うん。別にもう半分どうでも良くなってきてるから。」
ケタケタと笑う倉名。
「…泣くなよ?自分で言うって言ったんだから。」
その様子を見かねてか、いや、嫉妬してだ。
少し冷たく接しようとしている黒尾。
勿論澤村は気付いて、申し訳ない…と心の中で何回も叫んでいた。
「う゛…泣かないし。頑張るし!!」
「へいへい。」
「いやー…まぁ簡単に言うとチームと上手くいかなくってさ、バレー部にいい思い出がないんだよね、私。」
「上手くいかなくって?」
「そう。ほんと女子の世界って怖いよー?
嫉妬で人を引きずり落とそうって毎日足の引っ張り合い。
それでいいチームプレーができるわけがない。
だから高校では絶対にやらないって決めたんだ。」
澤村は黙ってその話を聞いていた。
チラチラと2人を見て、いや倉名が泣かないか心配している。
「総体の最終予選、私達は負けた。大差だった。それまで私のトスを打ってくれていた人達が最後の最後になって誰を取らなかった。」
どこかで聞いたことがある話に澤村は目を大きく開けていた。
「倉名のトスはすっげぇ綺麗て打たせる面では全国トップクラスある。嫉妬でめちゃくちゃにしたかった奴らに運悪く捕まったんだ。最後、あんなんだったけどベストセッター賞は取ってたしな。」
「あんなの昔の話じゃない。それに、言ったでしょ?そんなにもう気にしてないよ。」
笑う倉名はやはりどこか苦しそうだった。
「…」
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作者名:ミューゼス | 作成日時:2017年6月24日 22時