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映像が始まる。既に視聴済みのものと同じく、始まりは帝国学園サッカー部内の試合のようだ。自分の位置を確認し、これから始まる試合を目に焼き付けようと、無意識に前のめりになった。
スピーカーからくぐもったホイッスルの音が響けば、選手が一斉に動き出す。
勿論僕も動きだした──刹那。
『……何だ、これ。』
その一歩は、まるで縮地。
映像では確認できない程の速さで──多分、走り抜けたのだと思う。瞬きをするようなほんの一瞬の間に相手チームからボールを奪い、ペナルティエリア目前まで到達していた。その時間僅か1秒程、人間がそう易々と成せる技ではない。人間の能力値を遥かに超越しているこれが……これが、人間であっていいものだろうか。
気づけば
今までの映像に、これ程までの能力を発揮しているものはなかった。“13”の記録にも、僕の記憶にもない。
それがどうだ、1年遡れば人間を超えている。
『人間を……超えて……？』
朧気な記憶がゆらりと揺れる、歪む。頭が酷く痛んだが、そんなことはどうでもよかった。目に見えた記憶を手繰り寄せるのに必死だった。
その間も、映像は続く。
『……あ、』
ふと意識を戻せば、1人の少年が
『やりすぎ、だろうに……』
そのまま、次々とフィールドに転がる小さな身体が増えていく。誰一人として動けず、ただ目は恐怖を帯びていた。
その恐怖の対象はというと、周りが見えていないのか、目にはボールしか映っていない。勝利することしか映っていない。まるで盲目だ。ただ勝利を、成果の証を、とある男へ捧げる為に動いている。
『……やめろ、』
これは過去の映像だ、やめろと言っても止まらないことは分かっている。しかし、この悲惨な光景を見て言わずにはいられなかった。
『やめてくれ……』
たとえ記憶がなかろうと、この身体が多くの子供たちを傷つけてきた、恐怖に陥れてきた。それが分かってしまった途端、沸き上がる感触が妙にリアルで恐ろしい。
『……知らないよ、こんな
映像が終わる頃には既に日が暮れ、夕風は緊張で冷えた身体をさらに冷たくさせる。そうして身体中は冷え切っているのに、肺は焼けるように熱かった。
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鷹羽(プロフ) - コメントありがとうございます~!!!好きと仰っていただけて感激です^^ノロノロペースではありますが、更新させていただきます！ (2021年7月15日 18時) (
レス) id: 338e0ddf16 (このIDを非表示/違反報告)
名前はまだない - コメント失礼しますm(_ _)m 主人公の設定とかめちゃくちゃ好きです！！鷹羽さんのペースで頑張ってください！更新待ってます！ (2021年7月14日 19時) (レス) id: 567784a46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鷹羽 | 作成日時：2021年3月30日 1時
