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「あの1年に何を言われた。」
豪炎寺が鋭い目付きで風丸を見やった。
「……大した事じゃないさ。」
迷う思考を振り払う様に首を振り、風丸は準備が完了した大神と目を合わせる。同時に走り出し、今まで通りに“炎の風見鶏”を放った。
「……？！」
しかし、それは的はずれな方向へと飛んで行く。
繰り返す度にタイミングのムラが出て、大きくゴールから逸れいった。
『……はは。』
一同が困惑する。そんな中、大神は表情を変えることなく肩を竦めた。足元の印をかき消しながら風丸を見やる。
『うん、まぁ……仕方がないか。』
こうなることは分かっていた。
「……ッ！」
一方、余裕そうな大神とは違って、風丸は膝をついて荒い息を整える。焦って上手く息が吸えないのか、呼吸は浅く、吸ってから吐くテンポも早い。
「……意外と分かりやすいヤツなんだな。」
「何が……！」
豪炎寺が膝を着く風丸にタオルを投げる。風丸はタオルを受け取り強く握りしめると、豪炎寺を睨んだ。
そんな視線を気にすること無く豪炎寺は続ける。
「陸上部に戻ってきてくれとでも言われたんだろう。」
図星を突かれ、風丸は誤魔化す為の言葉探しを諦めた。何も言わず、ただ豪炎寺の言葉を待つ。
「……いい加減なプレイをして時間を潰すだけなら、フィールドを出て頭を冷やして来い。」
豪炎寺は言うだけ言うと、風丸に背を向けて歩き出した。それとすれ違うように大神がやって来る。豪炎寺の表情を見ると、控えめに笑った。
『脚が出なかったのは及第点かなぁ……』
「……大神、すまん……俺……」
『いいんだ、今日はもう止そう。迷いは思考を鈍らせる……君なりに悩んで、納得する答えを出せばいい。』
風丸は大神に支えられて立ち上がる。自身の現状が惨めに思えたのか、自嘲する様に笑った。そんな縮こまった背中を大神は2度軽く叩く。
『……彼の事だ、単純に出て行けと言っている訳では無いよ。顔を上げて。
迷いを先延ばしにして集中出来ないのなら、全部振り切ってから戻って来い……それが彼の言いたかった事。』
風丸は確信が持てなかった。どうするべきなのか、どうしたいのか。ただ、最近はサッカーばかりを考える。だが、陸上部には戻らなければとも考える。
『成程、もう決まっていると……』
「え？」
『風丸。そうであらなければならない、ではなく……君の意思が重要なんだ。
君がそうしたいと望む選択を。』
風丸は未だに答えが見えていないようだった。
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鷹羽(プロフ) - コメントありがとうございます~!!!好きと仰っていただけて感激です^^ノロノロペースではありますが、更新させていただきます！ (2021年7月15日 18時) (
レス) id: 338e0ddf16 (このIDを非表示/違反報告)
名前はまだない - コメント失礼しますm(_ _)m 主人公の設定とかめちゃくちゃ好きです！！鷹羽さんのペースで頑張ってください！更新待ってます！ (2021年7月14日 19時) (レス) id: 567784a46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鷹羽 | 作成日時：2021年3月30日 1時
