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サッカー部は風丸を抜いて、全員グラウンドで練習を開始していた。
事前に大神から風丸が遅れてくると知らされていた円堂だったが、未だ戻らない風丸に首を捻る。栗松は様子を見る役を買って出た。
「大神、風丸はなんて言ってたんだ？」
『遅れる、としか聞いていないよ。
まぁ……
大神は空を仰いで目を細める。揺れる瞳は寂しげで、円堂は次の言葉がなかなか出ずにいた。沈黙の後に風が吹いて、揺れる髪が目元を隠してしまう。
『……ほら、練習に戻ろう。』
気づけば風は収まり、大神は円堂の顔を覗き込んでいた。先程まで纏っていた空気は何処はやら、いつも通りの大神がそこに居る。
「……」
『……円堂。』
「あだァ？！」
上の空な円堂の額に人差し指を構え、一思いに指を弾いた。円堂は突然の激痛に顔を歪ませ、額を抑えてしゃがみ込む。
『そら、早く。』
大神は円堂に手を差し伸べた。その手と顔を交互に見てから、円堂はその手をしっかり掴む。力強く立ち上がると、頬を叩いて気合を入れ直した。
「よし……皆、打ってこい！」
ゴール前に就けば、待っていましたと言わんばかりに染岡がボールを蹴った。“炎の風見鶏”を見て火がついたらしい。円堂は迫るボールに食らいつき、ボールを抱え込んだ。
練習を再開して暫く経った頃、戻って来た風丸が栗松と共にグラウンドに足を踏み入れる。
「風丸、遅いぞ！」
「遅れてすまん！」
相方の元へ駆け寄る風丸の背中に、円堂が「頼むぞー！」と声を掛ける。振り向きはしないものの、軽く手を振った。
「悪いな、遅くなった。」
『そうかな、予想していたよりはすぐ戻ってきたよ。』
「ははッ、なんだその気遣い……始めようか。」
いざ始めようと風丸は駆け足で位置に就く。風丸は走る構えを取るが、大神は未だに位置を調整しているようだった。
『……影野くん！』
「あと……4歩くらい前だよ！」
位置取りが上手くいかないのか、影野に声を掛ける。風丸は不思議に思って首を傾げた。
先程までは、あの位置で上手くいっていたからだ。
「……お前がズレているんだぞ、気づいていないのか。」
「……え？」
豪炎寺の指摘に地面を見れば、風丸が立っている位置は先程よりも大分後ろだ。目印として地面を削った跡は数歩前の位置にある。
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鷹羽(プロフ) - コメントありがとうございます~!!!好きと仰っていただけて感激です^^ノロノロペースではありますが、更新させていただきます！ (2021年7月15日 18時) (
レス) id: 338e0ddf16 (このIDを非表示/違反報告)
名前はまだない - コメント失礼しますm(_ _)m 主人公の設定とかめちゃくちゃ好きです！！鷹羽さんのペースで頑張ってください！更新待ってます！ (2021年7月14日 19時) (レス) id: 567784a46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鷹羽 | 作成日時：2021年3月30日 1時
