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帝国学園の最寄りから電車に揺られ、稲妻町で降りると軽く言葉を交わしながら帰路を歩く。住宅地を抜け、1つだけポツリと佇んでいる大神の家が見えてきた。土門が唖然とした声を漏らす。
「……デカい。」
『あはは、金持ちって無駄に敷地を拡げたがるよね。』
「貴方の家ですけれど……？」
「快適に過ごす為の投資……と言ってしまえば、聞こえはいいものですね。」
「きッ……そうだ、この2人金持ちだ……俺だけ一般人〜！！」
頭を抱えた土門を他所に会話は続き、軽い討論のような言葉の投げ合いばかり。早く終わってくれと願いながら、土門はその横を歩いた。
『ぁ、』
遂に大神の家の門が見えてくる。その門の前にはやけに背の高く、睨みつける様な鋭い目つき男が立っていた。
大神は思わず足を止める。
……よく知った顔だ。
「あれは……大神さんのお父様、ですね。」
「え、じゃあ……あの人が、その……うわ、すっげ。」
「お前は語彙をどこに置いてきた。」
いつもならば笑ってしまうような会話にも、大神は上手く笑うことが出来なかった。
そして、父と目が合う。不服であるが、有難いことにいつも通りの笑顔を貼り付けられるようになった。
──ああ、未だにこの人に支配されている。
『……おかえり、父さん。』
人前だ、仲の良い親子を演じなければならない。ましてや、鬼道家の令息の前となれば大神の家をもっと完璧に。
「ああ、今帰ったよ。それで……後ろは、お友達かな？」
土門がその場で固まり、随分と深く頭を下げる。鬼道は慣れたように1歩前へ出ると、胸の前に手を当てると浅く頭を下げた。
「鬼道有人と申します、Aさんとは……」
「ああ！君が鬼道さんの息子さんだね、彼らから話は聞いているよ。息子をここまで送るその心遣い、鬼道家の未来は明るいな。」
「……いえ。」
鬼道の言葉を遮った。よく回る舌だ、口を挟む隙も与えない。
「今まで息子の顔を見せずに申し訳ない。そのうち会食には参加させるようにするからと、鬼道さんに伝えてくれ。」
「……はい、父にはそう伝えておきます。」
父の異様な雰囲気に、鬼道はなんとも言えぬ表情で頷いた。
「それでは失礼するよ。……さぁ、体に障る。A、中に入ろう。」
『はい、父さん。お2人共、ありがとうございました……失礼します。』
背中に父の手が触れる。門を抜け、家の入口まで、手つきは優しかった。しかし、その手は冷たい。
それが苦しくて、酷く泣きそうになった。
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鷹羽(プロフ) - コメントありがとうございます~!!!好きと仰っていただけて感激です^^ノロノロペースではありますが、更新させていただきます！ (2021年7月15日 18時) (
レス) id: 338e0ddf16 (このIDを非表示/違反報告)
名前はまだない - コメント失礼しますm(_ _)m 主人公の設定とかめちゃくちゃ好きです！！鷹羽さんのペースで頑張ってください！更新待ってます！ (2021年7月14日 19時) (レス) id: 567784a46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鷹羽 | 作成日時：2021年3月30日 1時
