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それからというもの、新必殺技の為に皆は尽力していた。それでも結局上手くいかず、マネージャーにも呆れられてしまっていた。
「FFが始まるってのに、新必殺技の“ひ”の字も見つからないなんて……」
「諦めるなよ！」
「諦めてる訳じゃないよ！」
練習の帰り道、大神と円堂、風丸、豪炎寺の4人で道を歩いている。前で風丸と円堂が話をしていて、必然的に大神は豪炎寺と並んで歩く。
居心地の悪さに顔を顰めた。
幸い、豪炎寺は大神に何も話しかけて来ない。
「ただ、最悪の事態も考えておかないと……」
前の2人が足を止め、この場で1番の経験者である豪炎寺に視線は注がれる。豪炎寺はその視線に答えるように、閉じられていた口を開いた。
「新必殺技が見つかったとしても、身に付けるまでは練習が必要だ。」
「う〜ん……ま、何とかなるさ！」
「何とかって……」
あまりの楽観さに、風丸と豪炎寺は呆れた様子で円堂を見やった。すると、その場の沈黙を破るように円堂の腹の音が鳴る。
「……よォーし！早速、雷雷軒で作戦会議だ！！」
1人で先を行く円堂を、困った様子で見つめる風丸。豪炎寺はそんな円堂を見て、円堂らしいと言う風に笑う。
『考えるだけで、見ているだけで、おぞましく鳥肌が立つような災難や不幸がある。』
「え？」
『でも、安心したまえ。そんなに身構えることはない。そうしたものは突如やってくるものだ。』
突然語り出す大神に、風丸は困惑しながらも黙ってその言葉を聞いた。大神は後ろで腕を組み、2人に背を向ける。
『そして、いざその事態になれば……
───私たちは思いもよらぬ底力を発揮し、その逆境に耐え抜くものだよ。』
そう言って、大神は円堂の後を追って走り出した。
「え、大神？何なんだよそれ、つまりはどういうことなんだ！」
『“賢者の智彗の書”、第1章“不安の構造”さ。
まぁ、要約すれば「何とかなるさ」ってこと！』
「えっと、つまりは……円堂と変わらないじゃないか！！」
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作者名：鷹羽 | 作成日時：2021年2月19日 3時
