【イナイレ】おお、神さまは天の上:1 (ページ16)

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円堂の指先が反応した。今、確かに動いた。

「まだだ……！！」

その場の全員が、息を呑む。

「……まだ、終わってねぇ……

───まだ、終わってねぇぞ……！！」

円堂はゆっくりと立ち上がった。帝国側も、観戦者も、隣の後輩も目を見開いた。

立ち上がった円堂と目が合う。

彼はは少し微笑んだ。

「(あ・り・が・と・う)」

前を向き、今度は珍しく険しい顔をして構える。

『……円堂。』

それでも、まだ続くシュートの嵐。叩きつけられるボールに耐えきれず、ついにスコアは20-0。

思考を巡らせても、勝てるビジョンは浮かばない。だが、このまま負けを認める訳にもいかない。いくら諦めないとはいえ、このままでは本当に終わりだ……試合も、サッカー部も。

『どうして僕は、こんな所いるんだ……』

正式なサッカー部であったなら、今ここで抜けたFWに……力及ばずとも、共にフィールドで戦いたかった。

「誰だアイツ！」

「あんなヤツ、うちのチームにいたか？！」

『……？』

突然ざわめき出す生徒達。前に出すぎる生徒を制して、注目されている人物を見やった。

『……豪炎寺くん？』

先日、転入してきたばかりの豪炎寺。その彼が、10番の雷門ユニフォームを身にまとってフィールドに足を踏み入れた。

『木戸川清修、そして彼は“すっげぇシュートを打った奴”。そうか、豪炎寺くんならきっと……』

だが、豪炎寺はサッカー部員ではない。大神があのフィールドに足を踏み入れないのも、その理由あってだ。

「待ちなさい、君はうちのサッカー部では……」

「いいですよ、俺達は。」

───承諾された。

帝国側の許可により、豪炎寺の参加が認められる。

『……帝国学園の狙いは、彼か。』

「え、狙い？」

『日本一の帝国学園が、わざわざ潰れ掛けの雷門中サッカー部に試合を申し込む訳が無い。申し込むなら、それ相応の理由がある……つまるところ、それが豪炎寺修也だ。

彼はサッカーの強豪校の1つ、木戸川清修からの転入生であり、前回のFF出場によってその名を轟かせた。』

「つまり、引き抜きの様子見ってことですか？」

『分からない……少なくとも、豪炎寺くんに接触するためだとは思う。』

───悔しいけれど、円堂を頼んだよ豪炎寺くん。