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「やったなぁ、皆！」
グローブを外し、腫れて熱を持っている手を冷やすように仰ぐ円堂。彼の言葉に、皆はあまり良い顔をしない。
「何言ってんだ、コテンパンじゃないか！」
「でも、同点だぜ？あんな凄い連中相手にだ！後半も、俺は絶対点はわらせない！！
……そして、2人の“イナズマ落とし”で点を取って勝つんだ！！！」
円堂は笑う、彼は希望を捨てない。そんな円堂を見ても、壁山は顔を逸らすばかりだ。それでも、円堂はやはり声を掛ける。そして、壁山は俯いた。
「でも、俺は……」
『力不足だって？バカな、ただ意思がないだけだ。』
「そんなこと……何度もやったじゃないッスか！無理ッスよ俺には……！」
『自分には不可能だと考える時、それが如何に不可能かを説明するため躍起になっている時……
私たち人間はただ、やらない理由を申し立てているだけだ。』
大神は壁山に『逃げるな』と背中を押す。そして、円堂は壁山を「信じる」と歩み寄る。壁山の顔は一向に晴れない。
ポジショニングは変わらず、壁山は浮かない表情でフィールドに立った。
『見えないから、分からないから怖いんだね。けれど、フィールドに立つんだ。
その目で見えるまで、その目で見つけるまで。』
───後半戦が始まった。
円堂は諦めない、その気持ちは雷門イレブンへと伝わる。その気持ちに応えるため、皆は削られ切った体力でプレイをし続ける。
「目を開けろ壁山！」
「……！」
壁山の目には、疲労に耐えながらも諦めない仲間が映った。
───見えた。
自分を信じる仲間を。
その仲間から逸らしている自分を。
そして、自分に出来ることを。
怖いなら、下を見なければいい。
胸を張り、上を向けばいい。
「これが俺の……“イナズマ落とし”ィーーー！！」
スコアは1-0、試合終了のホイッスル。
雷門サッカー部、FF地区予選1回戦進出。
『相手を信じ、自らを信じる。それは君たちが備えている数多くの才能よりも、君たちの人生を豊かにしてくれるとも……！
格好良いねぇ、皆！』
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作者名：鷹羽 | 作成日時：2021年2月19日 3時
