07 - 9月 ci side ページ7
気に食わないことは、連続して起こるものらしく。
「もうこんな時間か…私、2コマ目から授業なんだよね。」
「あ、Aもなん？俺も2コマ目からやねん、一緒に行こか〜」
「私今日誰なんだろ〜。大先生がいいなあ。」
「残念、確か俺やわ。」
ちぇ〜、と唇を尖らす彼女と、愉快そうに笑うロボロ。
俺だけが取り残された会話。いつもなら適当に割り込むんだけど、わからない話過ぎてそうもいかずに。
しれっと2人で帰る、まぁ帰りはしないわけだが2人きりの時間を確約したロボロに俺は少しだけ、黒いモヤがかかる感情を抱いた。
それに、大先生と呼んだ彼女の頬の緩みようと言ったらなんの。
……男なのだろうか。その大先生とやらは。
愛称からは推測出来ない想像に思考を張り巡らせているうちに、俺の口から思わず、気づかず言葉が零れていた。
「え〜、なにどうしたんA、頬ゆるっゆるやで。よっぽどその大先生って人の授業が良かったんやな〜。」
皮肉とも、ただの会話とも取れる言葉。
もしこの場に俺の気持ちの名前を知ってる人が居たら、多分大爆笑していることだろう。
「まぁ、大先生の授業おもろいしわかりやすいしな〜。しかも俺Aの不得意教科教えるの得意って訳じゃないし。」
「…っそ、そうそう。ロボロじゃ心もとないからな〜。わかりやす〜い、大先生の授業が良かったわぁ。」
タバコも吸ってないし、彼女の話も聴けるし。
彼女はそう付け足した。
ただの会話の返答として言ったロボロに便乗するみたいに、慌てたAの言葉が続くことに、違和感を抱かずにはいられない。
タバコも〜、辺りから微妙な顔をしているロボロは、一体何を考えているのか。今の俺には皆目検討がつかなかった。
……確証はない。
けど、なんとなく。勘が告げているのだ。
Aはその、大先生とやらが大好きで仕方ないんだ。
そして、その大先生とやらは、男なのだろう、と。
俺の知らない中学3年間の、いずれかの期間をしる彼ら、俺の知らないAの人間関係。
別に、なにか俺がなにかされて被害を受けたわけでもないのに酷く、それはもう酷く心が荒んでいた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 85人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まめくろ | 作成日時：2020年10月8日 19時
