姉上の為に…！ ページ33
勿論、記憶等消さずとも過ごす事は出来よう。
だが、フェリオは…
この時点で既に、知っていたのだ。
”柱とはどういう存在か”を。
セフィーロを護り、秩序や平和を保ち続ける為に、王族の責務を熟すより責任重大な仕事を熟さなければ為らぬ事を。
そして…
此は、後に明らかになる事だが、
フェリオが危惧した事態も、此には含まれている。
柱は言う迄も無いが、セフィーロの中で最も魔力と祈りの力の影響が強い。
セフィーロという国全てを祈りの力のみで支え護るのだから当たり前だが。
もしも、その均整(バランス)が崩れた場合…
即ち”柱の務めが果たせなくなった場合”…
取り返しのつかない結果を招く事態を呼び起こしてしまう。
だから、せめて少しでも愛する姉の負担に為らぬようにと、
形のみでも他人となり、エメロード姫の祈りの妨げに為らないようにしようとしたのだ。
自分がエメロード姫の弟だと判らなくなれば、
下手なちょっかいで姫を邪魔せずに済むだろう。
姉上の務めの妨げに為らぬよう、此からは只の市民として、一人で生きていく。
だから、姉上も、自分という弟が居たという事は…忘れて下さい。と…
全てを思い出したフェリオは、オーブを握り締める。
フェリオ「そうだ…俺は、貴方にこのオーブを貰って、城を出たんだ！」
エメロード姫の言葉が蘇る。
エメロード姫「記憶を消してしまっても、私には…貴方を忘れる事等、出来そうもありません」
パアァァ…
フェリオの足元に刻まれた、城外への転移魔法陣が発動する中…
フェリオの手には、あの二つのオーブが握られていた。
エメロード姫「せめて、このオーブを持っていて下さい。
離れていても、貴方の声が聞こえるように、
私が、たった一人の弟である、貴方の声を…忘れる事が無いように…！」
この言葉の直後、フェリオはエメロード姫が姉だという事と、皇子だという記憶を全て封じて、
旅芸人の一座に拾われたのだ。
そして…
煉獄達が転移為て来る一年程前…
反乱を起こしたザガートにエメロード姫が幽閉為れた事を知り、
一座に別れを告げて、エメロード姫救出の為に旅立ったのだ。
記憶が無いのに、こんな行動に出たのは当たり前だ。
処世術を身に付け、師に出会って剣の腕を磨き…。
全ては、他ならぬ…愛すべき姉の危機を、自分の手で討ち果たす為だったのだ。
記憶の奥底に在る気持ちが…
フェリオを突き動かしたのだろう。
”姉上を助けなければ！”と…
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みこち(プロフ) - 光柱の沙さん» 有難う御座います。本編間もなく再開します！ (2022年11月4日 5時) (
レス) @page4 id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
光柱の沙(プロフ) - 続編おめでとうございます！ (2022年11月3日 22時) (レス) id: 35c79308e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みこち | 作成日時：2022年10月31日 4時
