鬼滅の魔法騎士

2人が消えた！ ページ36

その時…死角から3人の足元の地面に、渦を巻く黒い影が現れた。

と…次の瞬間！

ぐにゃっ！ズズ…！！

地面が蟻地獄のように為ったかと、其処を中心に黒い穴が開き、

炭治郎が凄まじい力で地面に引きずり込まれていく。

炭治郎は身もがいたが、引き込む力が尋常では無く、みるみる地面に沈んでいく。

炭治郎「煉獄さん！不死川さんっ！』

何とか抜け出そうと、2人に呼び掛ける。

不死川「竈門っ！掴まれ！』

手を伸ばすが、届かない。

その間に、煉獄と不死川の足元に黒い穴が広がって来た。纏めて捉える気らしい。

煉獄「くっ！不死川っ！手を伸ばせ！此の儘だとお前まで捕まるぞ！』

黒穴を視界に捉えた煉獄は、咄嗟に上の木の枝に跳躍して飛び付き、地面で炭治に意識を向けたまま黒穴に気付かない不死川の方に視線を向け、枝にぶら下がりながら不死川の左腕を掴む。

煉獄「くそ…！竈門少年！このままでは…！』

此を見たモコナが煉獄の腕から跳び上がると、煉獄の頭上の木の枝を掴み、

モコナ「キュウッ！』

まるで「此をっ！』と言うように、枝に絡んでいた太い蔓草の先を煉獄目掛けて放る。

意味を察した煉獄は、片方の脚で蔓を引っ掛けると、炭治郎に向かって投げた。

炭治郎「れ、煉獄さんっ！うあああーっ！』

しかし、黒穴から黒い魔力の渦が炭治郎を巻き取るように包み込むと、そのまま地面の中へと消えてしまった。

おまけに何と今度は、不死川の背中側の木の幹に黒穴が開くや、不死川を躰ごと引き込もうとする。

不死川「なっ？！この野郎！魔法…か？！俺達を引き離す気かよ！』

煉獄「不死川っ…！くっ、何て力だ…！』

全集中の呼吸で引っ張り戻そうとするが、相手の力が半端無い。不死川の腕を掴む煉獄の肩の関節が、引く力に悲鳴を上げ始めた。

不死川(畜生…！此の儘じゃ煉獄迄引っ張り込まれちまう！)

そう判断した不死川は、躰が完全に黒い渦に引き込まれる寸前に、煉獄の腕を振り解く。

不死川「煉獄！捕まるなよっ！』

ズズズ…！！

不死川が黒穴に引き込まれた直後、引き込む力から解放され、支えを失った煉獄は地面に叩き付けられた。

ドッ！

煉獄は直ぐに躰を起こす。

煉獄「竈門少年！不死川っ！くそっ…2人が捕まった！早く探さねば…』

ザガードの手の者の仕業か？いいや、違う！

其れならば、動きを封じた時点で始末する筈だ。

人質…？いや、此も有り得ない。

ならば2人を捕らえて残りの一人の前に姿を現さないのはおかしい。

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