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本当なら ページ5

か細い、哀しげな声で…絞り出すように呟く。

炭治郎「ずっと…居たいなあ。此処に…振り返って戻りたいなあ…」

横顔の、口元だけのアップ。だが、今にも泣き出しそうなのは厭でも判る。

肩を振るわせ、丸めた背中、俯いた頭。哀しさが全身を支配している。

泣きたくなるような、優しい音

どんなに苦しくても、前へ、前へ、進め、絶望を絶ち

炭治郎「本当なら、ずっとこうして暮らせていた筈なんだ。此処で…」

そうだ。炭を焼き、弟妹達に囲まれて、母を手伝いながら…笑顔で…

炭治郎「刀を握ることも、死の淵を潜るような戦いに身を置く事も無く…」

煉獄「竃門少年…」

炭治郎は、涙目で人の躰のままの禰津子を見る。

炭治郎「禰津子…お前だって、鬼にされる事も無かった。あんな事さえ起こらなければ…お前も、人間のままで、暖かな太陽の下で…!」

甘露寺「そうよね…酷すぎる…こんなのって…余計に辛いわ!」

でも…あれはもう、終わった事なんだ…戻る事は出来ない…!

決意を固め、前を向いたまま早足で歩き出す。

煉獄「良いのか?本当に…確かに、此処に居てはいけない。が…!」

しかし、去ろうとする兄の背中を、六太が追おうと駆け出す

六太「何処に行くの?兄ちゃんお願い!行かないで!!」

だが、途中で雪に足を取られ、転んでしまった。

ザッ…

炭治郎の足が止まる。頸が微かに動いた時…

不死川「チッ。甘ちゃんが!」

画面に声を投げ掛ける

不死川「馬鹿っ!止まるな!今、弟妹の方を向いたら、戻れなくなっちまうぞ!さあ、行くんだ!早く行けっ!!」

見れば、画面を見る不死川が叫んでいる。

失っても、失っても、生きていくしか無い

どんなに打ちのめされても、護る者がある

護る者がある…

伊黒「この歌…胸に響く。しかし…流石に此は我慢がならない…!」

煉獄「同感だ!断じて許し難い!」

不死川「なあ、この任務…御館様の許しが出たら、俺も同行して構わないか?さっきの汽車の屋根に居た鬼…元凶のあの野郎、絶対に許さねぇ…!竈門と一緒に…この手で倒してやる!!」

ふと後ろを見れば、画面の外の炭治郎は…

俯き、涙を零しながら両の手を地に着き、肩を震わせている

宇髄「仕方無ぇ、こんなもの見せられたら、俺だって多分ああなるさ」

炭治郎「母さん…竹雄…茂…花子…六太…!」

その背中を…かごめが優しく擦っている

善逸と伊之助の2人も、炭治郎の肩と膝に手を乗せ、負けなけりゃ良いんだと励ましていた

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作者名:みこち | 作成日時:2022年5月6日 4時

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