緊張の後に ページ7
スーッ、パタン。
襖を閉め、奥の客間へと歩き出す。
客間に着き、中に入ると、立派な一枚板の座卓がある。その前に千寿郎がぶ厚い客用の座布団を敷いてくれ、どうぞと言うので怖ず怖ずと座る。
かごめ「凄いわこの座布団…うちで使ってる奴よりふっかふか…!』
煉獄「先程は気を遣わせて済まなかったな、ゆっくりしてくれ。もう少ししてから夕餉を振る舞うから』
かごめ「えっ?夕餉って…夜ご飯の事ですか?其処までは流石に!一応携帯のご飯は有りますからお構いなく』
煉獄は笑いながら、
煉獄「何を遠慮している?客人に食事を出さぬ等無礼を働けば、其れこそ父上にどやしつけられる!遠慮は要らん。是非とも食べてくれ!千寿郎が作る飯は最高だぞ?母上を無くしてからは、下働きの手が回らないとき等、弟は家事や炊事は見事に身に着けていってな、料理等は弟の作る方が今は旨い位だ。君にも食べて貰いたい!』
笑顔でこう言われては、無下にも出来ない。かごめは頷いた。
ー夕刻ー
下働き「お待たせしました。千寿郎坊ちゃまのお料理で御座います、今お並べしますのでお待ちを』
下働きは、大きな盆に乗せた湯気を立てている皿を次々に卓に並べていく。
ぶり大根、だし巻き卵、小松菜と厚揚げのお浸し、赤出汁の味噌汁…どれも、とても子供が作ったとはとても思えぬ程の出来映えだ。
かごめ「凄いわ…!あたしも料理は好きだから良くやるけど、和食とかは出汁加減とかが難しくて。貴方の歳で此処まて作れるなら、結婚したら奥さん喜ぶでしょうね」
煉獄「全くその通りだな!嫁をとったら出る幕も無くなるやも知れんな!』
千寿郎「恥ずかしい…お二人とも揶揄わないで下さい!』
笑い合い、勧められるまま箸を付ければ、やはりどれも美味だった。
食後、かごめはリュックを探り、中に入れて置いた刀々斎に刀の話を聞きに行った帰りに、土産にくれてやると持たされた妖怪世界に成るという金成林檎という林檎を三つ取り出し、座卓に置いた。
大きさは、かごめの広げた手のひらよりも、一回りも大きい。
煉獄「な、何だそれは!形は林檎…のようだが、金色の奴など初めて見るぞ!何処に生っているのだ?!』
かごめ「これは、人間の世界に実る奴じゃ無いんです。金成林檎って言う種類らしくて、妖怪世界にだけ出来るらしいんです。兎に角旨いから持っていけって、あたしの旅仲間が世話になってる刀鍛冶のお爺さんから、中半強引に持たされて…良ければデザートにと思って』
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作者名:みこち | 作成日時:2022年4月4日 21時