かごめの話(11) ページ19
そして、膠着状態の最中、遂に犬夜叉達がその場に駆け付け、その場の光景を目の当たりにした彼等は、直ぐに状況を理解し、
奈落を睨みつけ、彼と戦い始めた。
かごめ達は戦いを犬夜叉に託すと、琥珀を何とか押さえ込んで、鉄砕牙を奪い返した犬夜叉と奈落との戦いを見詰めた。
奈落は何と、犬夜叉が自分に鉄砕牙を向けて駆け寄った瞬間、琥珀を護るかごめ達目掛けて、彼女達を覆うように大量に生み出した瘴気で包んだのだ。
この瘴気は強力で、奈落の意のままに動かす事も出来、触れたり吸い込んだりすれば、躰が溶けたり腐り堕ちたりしてしまう。毒ガス等よりも遙かにたちが悪い代物なのだ。
かごめは珊瑚を抱き締め、奈落に憎しげに悪態を付いた。当たり前だ。かつて桔梗と犬夜叉を騙して罠に掛けた時とまるで同じやり口で珊瑚達を嵌めて地獄を見せたからだ。
奈落は馬鹿だ。珊瑚が琥珀君を憎んで殺そうなんて、そんな真似をする訳がある物か!あんたなんかに、人の暖かさが判って堪るかと。
煉獄「その通りだ。抑も、人の繋がりを砕く真似を喜ぶ心しか持たない時点で間違いなのだ!』
だが…奈落はかごめのその言葉に呆れたように、そのまま死ぬが良いと、瘴気をかごめ達目掛けて狭めて来た。
この時の奈落の顔を見た瞬間、遂にかごめは切れた。
あんたは最低だ。絶対に許さない!
そう叫ぶと、弓を奈落に向かってつがえて、破魔の力を浄化の力に上乗せした矢を、怒りと気合いを込めて撃ち放った。
消えるのはあんただ!そう強く思いながら。
バシュッ!!
その一撃で、かごめ達の周りの瘴気は元より、自分の首から下の躰を全て、一瞬にして浄化されて消し飛ばされた奈落は、慌てて琥珀に命じ、彼に自分を抱えさせたまま城へと逃げ去ってしまった。
咄嗟のことだったので、かごめ達は琥珀を取り戻せなかったのだ…
この直後…珊瑚は、かごめ達から離れていこうとした。
ごめんね。もう一緒に居られない。そう言いながら。
脅されたとは言え、裏切りを働いた自分には、もうかごめ達と居る資格は無いと暗に告げながら。
だが、犬夜叉とかごめ、弥勒と七宝は彼女を引き留めた。
珊瑚には責任は無い、奈落はひとりで倒せる相手じゃ無い。一緒に戦おうと言ったのだ。
珊瑚は問い返した。何故だと、一緒に居ても良いのかと。
犬夜叉は言った。
だから、良いって言ってんだろうが!と、当たり前だろうと言うように。
珊瑚はかごめに抱き締められ、泣き崩れた。
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作者名:みこち | 作成日時:2022年4月4日 21時