鬼滅の妖怪奇談 (ページ16)

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かごめの話(8) ページ16

かごめ達はどうせならと、珊瑚に協力を申し出て仲間になった。

其れから暫く共に旅を続け…ある日、離れて調査をしていた珊瑚の前に、思い掛けぬ人物が現れた。

其れは何と…奈落の罠で命を落とした筈の琥珀だったのだ。服装も、その時のままの戦闘装束だった。

煉獄「馬鹿な！生きていただと…？！埋葬された筈の珊瑚の弟が？…っ！待て。まさか…奈落が蘇らせたのか？四魂の玉の欠片を琥珀に埋め込んで。死者さえもそうすれば蘇生させられると、先程言っただろう？』

かごめは頷く。

珊瑚は、死んだと思っていた弟が生きていたことに喜び、駆け寄り抱き締めようとしたが、何と琥珀は、鋭い視線を姉である筈の珊瑚に向けるや、自分の鎖鎌を構えたのだ。実の姉に向けて。

見ると、何といつの間に姿を表したのか、ヒヒの皮を被った姿の奈落が琥珀の真後ろに立ち、珊瑚を見ているのだ。

琥珀はどう見ても、奈落を庇っているようにしか見えない。珊瑚が琥珀に、何故奈落を庇うのだと聞くと、

琥珀は答えず、変わりに奈落が口を開いた。

奈落「忘れておるのだ。お前の事も、目覚める前までの全ての出来事も。今の琥珀はこの儂の忠実な飼い犬…どうだ、悔しかろう』

そして奈落は、珊瑚にあることを告げ、琥珀と共に消えた。

煉獄「何と言い残したのだ。まあ碌でもない事だろうが』

かごめ「ええ。奈落は、犬夜叉の使う、鉄砕牙という刀を奪って自分達に持って来いって珊瑚ちゃんに命令したんです。従わなければ琥珀を殺すって脅して』

煉獄「…っ！？つまりは、弟を助けたければ、君達を裏切れと？何処までも外道な…！かごめ、琥珀は記憶を奈落に奪われていたらしいが…其れだけなのか？奈落が連れ歩くなら、まず間違いなく悪事に加担させる筈だ。元の優しさがそのままなら、其れをさせるには記憶を奪うだけでは弱いだろう？前に話したが、俺達が斬る鬼は心を邪悪に歪められている』

かごめ「精神を捻じ曲げられていたのかって事ですか？いいえ。只、そういう真似をさせる時にだけは精神を一時的に封じていたみたいですが…奈落は、琥珀君の心の優しさに付け入って支配してたんです。つまり、城で奈落に操られてやらされた事に傷付いた気持ちその物を握られて…』

煉獄「そうか、記憶が戻れば、父上や仲間を自ら手に掛けた地獄を自分の頭に突き付けられる。その恐怖と罪悪感を利用したという訳か。奈落からは逃げたいが、記憶が戻れば地獄を味わう。逃げ道を完全に塞がれて…可哀想に…！』