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かごめの話(7) ページ15

全ては罠だった。

そう理解し、怒りに任せて飛来骨を手に奈落の傀儡に珊瑚は斬りかかろうとしたが…

傀儡は無駄だとばかりに、右手の指先をパチンと弾いた。

その途端、珊瑚の肩先に埋め込まれていた四魂の玉の欠片は弾き出され、傀儡の手の中へと戻り、躰の痛みと疲弊が一気に戻った珊瑚は、悔しげに、畜生…!と呟きながら、血反吐を吐いてくずおれた。

犬夜叉と弥勒が、傀儡に向かい何て非道な真似をと、直接自分達を狙えば良い物をと、卑怯だと怒鳴り付けたが、傀儡はまるで、騙される方が馬鹿なのだとでも言いたげに鼻で笑うと、

珊瑚に、あろう事かこう投げかけたのだ。

傀儡「馬鹿な奴め…せっかく苦痛無しに旅立たせてやろうとしたのに。敵を討てたと思いながらくたばれれば良かった物を…』

と、さもおかしそうに嘲笑いながら。

怒髪天を突いた犬夜叉が傀儡に爪で一撃を食らわせると、傀儡は人型を捨て、触手を無数に出し、瘴気を撒き散らしながら暴れ始めた。

その時まで犬夜叉達は、其れが奈落自身だと思っていたのだが、珊瑚が相手の動きから何やら妙だと気付き、動いていない胴の継ぎ目を狙えと叫んだ。

犬夜叉が其処を鉄砕牙で破壊すると、相手は見る間に崩れ去り、残骸と化した土塊の中に、細長い木で出来た人形が見付かり、しかも其れには、奈落の物と思しき髪の毛が絡ませてあった。

珊瑚は何とか助けたものの、自分達が倒したのは傀儡だったのだと、犬夜叉達は肩を落とした。

煉獄「かごめ、珊瑚を保護した後、珊瑚達を嵌めた奈落が居る城に調べには向かったのか?奈落が君達に傀儡を破壊されるのは想定内だったにしても、直ぐに向かえば何某かの手掛かりは得られたのでは無いのか?』

かごめは首を横に振る。

煉獄「調査しなかったと言うのか…?何故?俺なら、少なくとも直ぐさまその城に向かうぞ?』

かごめ「しなかったんじゃ無くて、出来なかったんです。珊瑚ちゃんにその事を聞いたときに、城の場所と若様…奈落の顔さえも全く思い出せないって言われて、それ以外は全部憶えていたのに…弥勒様が言うには、多分…城に入った時点で暗示に掛けられたんだろうって』

煉獄「成る程、万一悪事が露見した場合に備えて、城に戻れないように予め細工を施していたという訳か。小賢しい。悪党の癖に抜け目は無いのだな』

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作者名:みこち | 作成日時:2022年4月4日 21時

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