焔との出会い ページ2
だが、若者は雲母の威嚇等意に介して居ないかのようだ。
夕暮れ時と言うことも有り、日が沈みかけ仄暗くなりかけている中…
チラと雲母を見て、微かに頸を傾げたが、直ぐにかごめに視線を戻すと、心配するような顔付きで更に此方に距離を詰めてきた。
このままでは直ぐに目の前まで来てしまう。
この場には、自分の主である珊瑚や、かごめを護る犬夜叉は居ない。かごめに意識が無い以上、武器を持つ氏素性の知れぬ輩を彼女に近づけるべきでは無い!
雲母はそう判断した。
雲母は、妖力の炎に我が身を包むと、珊瑚を背に乗せる時の、大人の豹のサイズの猫又の姿に変化した。
雲母「グアォッ!!』
軽く咆哮し、若者に向き直り背を屈めて、何時でも跳び掛かれる構えを取る。
若者「っ?!ぬ…これは!只の猫では無いのか!よもや獣型の鬼か!』
変化した雲母を目の当たりにした若者は、刀の鍔に指を掛けるや、
シャッ!
鮮やかな仕草で雲母に見せ付けるように抜き放つ。
その刀身は何と、彼の羽織の裾模様と同じく鮮やかな赫色だった。
若者「気配は何やら違うようだが…擬態している時点で怪しいのは明白だな!後ろの娘は如何した?貴様が何処かから攫って来たのか?答えろ!』
若者に問われた雲母は、頭に血を上らせる。
何が哀しくて、いきなり現れた不審者に誘拐犯呼ばわりされなければならないのだ!
雲母「ガウッ!』
怪しいのはお前の方だと、雲母は咆哮を上げる。
若者「答える気は無いらしいな。この炎柱に牙を剥こうとは良い度胸だ!俺は煉獄杏寿郎、鬼殺隊炎柱だ!さあ、その牙が俺に届くものなら来るが良い!!』
抜いた刀を正眼に構えながら、両の口角を余裕の顔で持ち上げて挑発する。
どうやらこの煉獄という若者は、雲母をかごめに害を成す化け物の類いだと勘違いしたらしい。
見た所動きには珊瑚のように無駄が無く一分の隙も見受けられない。
一瞬かごめを背に乗せて空に逃げようかとも考えたが、この様子では、此奴は何処までも追ってくるだろう。かごめを雲母から引き離すために。
相手が臨戦態勢に入った以上、下手に逃げを打つよりは適当にあしらって隙を見付けた方が良い!
煉獄「如何した?来ないなら此方から行くぞっ!』
タッ、
地を蹴り上げ、雲母に向かって走り出す。
その時、かごめは身動いで目を開いた。
煉獄「む?君!気が付いたなら下がっていなさい!』
気が付いたかごめを見た煉獄は、雲母から離れていろと促した。
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作者名:みこち | 作成日時:2022年4月4日 21時