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煉獄は鋭い瞳で車内を睨む。
その視線の先には…
鬼「クルルル…クルルル…!!』
ギチギチと関節を軋ませるように動かしながら、鬼が現れる。
此方の鬼は、先程の奴とは些か体形が異なっている。体格は同じ位だが。
まるで、昔話に出て来る手長足長のようだ。長い手足で、まるで蜘蛛かヤモリのように器用に天井に取り付いている。
義丸「おっ、やっぱり居やがったな!幸いこの車両内の乗客はあっち側の車両に逃げた。この方がやり易く…』
だが、後から来た鬼蜘蛛丸は、在る箇所を見て血相を変える。
車両内の中半ほどの座席に、若い男が1人居るのだ。
鬼蜘蛛丸「何故まだ此所に…おいあんた!此所は危険だ!早くあっち側の車両に避難しろ!』
だが男は鬼を見て恐怖に囚われたらしく、足も躰もガタガタと震えており、あわあわとか細い悲鳴を漏らしたまま固まってしまっている。
あれでは、誰かが手を貸さねば自力では逃げられないだろう。
其れでも命は惜しいらしく、何とか座席に手を掛けて逃げを打とうとする。が…!
鬼「グアッ!』
ドガッ!
群れから離れた1個躰…
食糧である生き物を狩ろうとする肉食獣から見れば、まさに格好の獲物だ。
逃げようとしても無駄だとばかりに、矢鱈に長い腕を爪を剥きながら伸ばし、男の直ぐ脇の位置に突き立てて来た。
男「ひっ!?うわああっ!た、助けてくれっ!』
煉獄「その人に手を出す事は許さん!』
鬼「ギィ…?』
まるで、「ん…?虫螻が何の積もりだ?』とでも言うように、首を鬱陶しげに煉獄に向けてくる。
判っていないようだなと、煉獄は自信に満ちた微笑を鬼に向けながら続ける。
煉獄「聞こえなかったのか?お前の相手はこっちだと言っている!』
すると、何と伊之助が両の手に日輪刀を構えながら、鼻息荒く意気揚々と進み出たのだ。
義丸「ち、ちょっと待て、まさかお前…!』
伊之助「よっしゃあ!先手必勝っ!!』
即決勝負だとばかりに鬼目掛けて突進するや、眼前目掛けて跳躍する。
鬼蜘蛛丸「ば、馬鹿待て!逃げ遅れた人がまだ居るんだぞっ!!』
だが伊之助は、
伊之助「ぶっ倒しゃ問題ねぇよっ!見てな!!』
炭治郎「そーゆー問題じゃ無いっ!!』
そうなのだ。先程の男は逃げ遅れたまま、同じ位置の床の端に、頭を抱えて震えたまま蹲っている。
その間近でこんなデカブツと衝撃波を出すようなチャンバラをやらかせば、確実に巻き込む事になるのに…!
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EM - 炭治郎が日輪刀を無くしてキレた時の台詞ですよね? (2022年1月20日 0時) (レス) @page1 id: 41f79f6239 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - EMさん» 有り難う御座います。因みに、タカ丸のこの台詞、鬼滅の刃の遊郭編のいつ頃か判りますか? (2022年1月19日 21時) (レス) @page1 id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
EM - 続編おめでとうございます。 (2022年1月17日 12時) (レス) id: 41f79f6239 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みこち | 作成日時:2022年1月17日 11時