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｢ っ！ ｣
ゆっくりとこちらを向いたその生物は、濁った目を ギロり と回して、立ちすくむ私の姿を確認した。
、こわ、い、…っ、
｢だれ か、っ、！｣
走り出した私の後ろ、
その2倍くらいのスピードで追いかけだした生き物に気を取られて
｢あっ、！｣
雨でグチョグチョになった地面に、足が滑って
転がり落ちた、木の間。
落ちながら擦れた木の枝と、打たれ続けた雨のせいで
冷たい体が更に痛い。
つくづくツイてない。このまま死ぬのかな、私。
だれの邪魔にもならないなら、それはそれで…なんて考えが頭に浮かぶ
思考も体力も、もうとっくに限界らしい。
疲れきった身体は正直だ。
なんだかぐにゃりと沈みこんだような感覚を最後に
こんな山奥で怪我だらけだっていうのに、そのまま意識を手放した。
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作者名：スイ. | 作成日時：2021年10月1日 20時
