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あんなことを言ってしまったんだ。
これくらいは、お姉ちゃんの言うこと聞こう…
せもてもの償いのつもりで、帰ってきたお父さんに顔を出してから寝ようと
戻るはずのなかった階段を降りて、リビングのドアノブに手を掛けた時
『もう疲れたわよ、私は…』
カチャ、と音を立てて開いたドアは
ほんの少しだけ弧を描いて
開くのをやめた。
聞こえたお母さんの声。
確かにそれは疲れ果てていて、
入り込めそうに無い雰囲気の親の会話に、その場に立ち尽くすざるを得なくなって
タイミングを見計らって入ろうと、耳をそばだてた。
これが吉だったのか凶だったのか
この時の私は、そんなこと
分かるわけもなかった
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作者名：スイ. | 作成日時：2021年10月1日 20時
