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｢目、開けてごらん｣
｢…？わあ、！｣
風がなくなった…？そう思っていれば、彼の言葉で無意識に目を閉じていたんだと気づく。
いつの間にか変わっていた景色は、あんな不気味な森じゃなくて
とっても綺麗な緑の中に、ちらちらと光るたくさんの色。
それがホタルや蝶々なことに気がつくには、そう時間はかからなかった。
｢、よいしょ｣
ここもまだ森なのかな？
今の時間は分からないけど、草木の影に生み出された暗さがそれっぽい。
1人でうっとりしていれば、彼はソルから降りてしまっていて
手、貸して？なんて、もう私に向かって手を伸ばしていた。
｢っ、わあ、！｣
｢おっと、！ナイスキャッチだ、おれ(笑)｣
その手を掴もうと腕を伸ばした瞬間に、ぐらりと崩れて体ごと落っこちそうになった。
気づけば正面から抱きとめてくれてくれた彼の腕の中に、すっぽり収まっていて助かったのだけど。
そっと離した私の体。
今度はその手で、ソルの手綱を持って
ずっと被っていた、重たいフードを
パサりと避けた。
｢、｣
綺麗な、顔 _____。
隠されれば隠されるほど、その想像って勝手に膨らんでいくものだけど
ちょっとこれは予想外だった。
普通の人間の、男の子だ。
それも同じ歳くらいの、
「あれ、君 どこかで…」
「？」
「いや、なんでもない。
行こう、こっちだよ」
振り返った彼に合わせられた綺麗な垂れ目。
その瞳に、胸のどこからか沸いてきた懐かしさを覚えながら
はぐれないように、後ろをついて歩いた。
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作者名：スイ. | 作成日時：2021年10月1日 20時
