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｢ソル、もしかしてまだあいつ後ろにいる？｣
彼の問いかけに、またソルが鳴き声をあげる
それが合図だと言うように振り返った彼は、さっきの生き物がまだ追いかけて来ているのを確認して
｢しぶといな、｣
ヒュっと音を立てて何かを投げたと思ったら、空中でキラキラと紫色の霧が舞って
あっという間にあの生き物は、眠るように倒れてしまった。
｢なに？あれ、、｣
｢気絶させただけ。ちょっと記憶を消したんだ。しんではいないよ。｣
｢へ、へえ…｣
頭が追いつかない状況が続きに続いて、なんだかパンクしそう。
握ったソルのたてがみはふわふわで、綺麗すぎるその潔白さに、さっきよりも息を呑んだ。
｢今から境目に入るから…ちょっとだけ我慢してね｣
ごめんね、失礼します…って
たてがみの掴み方を教えてくれた時みたいに、後ろから伸ばされた彼の片手。
今度は私の手じゃなくて、肩を少し強めに抱くと
少し体制を前のめりに屈めた。
｢もう少しで入るよ、そのままそこを掴んでれば大丈夫だから｣
何と何の境目、？
それもきっと、今じゃなく後で教えてくれるんだろうって
もう疑問に持ったことをいちいち聞こうとするのもやめにした。
彼に言われてから数秒後、ゴワッと吹いてきた強い風にきっと境目っていうやつに入ったんだろうなって
起きたばかりの、小さな脳みその奥で理解して。
駆け抜けたシラカバの森、少しだけ見えた空は
目の錯覚か、灰色を混ぜたような黄色に見えた。
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作者名：スイ. | 作成日時：2021年10月1日 20時
