ロスト・パピヨン (ページ12)

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天に昇ってたんじゃない。

いわゆる、"お姫様抱っこ"とやらをされたまま
追いかけてくるあの生き物から、走って逃げている最中だった。

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｢あなた、誰なの、、？｣

1枚の布で出来ているような、黒いポンチョのような服。

大きなフードからは、口元しか見えていない。

それなのにこの人、道が見えてるかのように
さっきから真っ直ぐに走ってる…

｢その話は後、

いい？僕が君を降ろしたら、もう少しでそこに待機させてるペガサスが見えてくる

そこまで全速力で走るんだ。できる？｣

｢ペガサス、、？｣

忘れてたけど私、昨日から走りっぱなしでもうヘトヘトだし
雨で汚れたスカートがまだ足にまとわりついて気持ち悪い。

それにペガサスってなに…？どういうこと？

｢できるね？

後ろは振り向かないで走るんだよ、
すぐに追いつくから。｣

こんな状況、急に受け入れろって言われても無理すぎる、もうどうしようもない。

さあ、

そう言って優しく地面へと降ろしてくれた彼の言葉通り、何本もそびえ立つシラカバの木の間を

ただ、がむしゃらに走った。

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