ミセス ナシゴレン【2】

60 反省会 ページ11

開かれた扉の向こうで最初の司会者が立っていた。
「おめでとうございます！見事、脱出成功です！」
嘘！成功！？
参加者は大喜び。
雄叫びを上げたり、バンザイしたり、拍手したり。
それぞれ喜びを表現している。
私達も成功を喜び合った。
「兄者さんのおかげです！ありがとうございます！」
「いや、Aがキーボードに気付いてくれたからだよ。サンキュ」

待合室に再集合すると謎の解説が始まった。
自分が解けなかった問題も多数あったのでこれは嬉しい。
へー、はいはい、そんな解き方がっ！
勉強になるなぁ。
Aはレベルが上がった。
話では、初心者が初回で脱出成功するのは稀なケースだとか。
大体みんな失敗するんだって。
どちらでも、またやりたい！っていう気持ちになるのは変わらないですけどね。

脱出成功を分かち合うため、チームメイト全員で近くのファミレスへ移動。
こうやって反省会をする事がたまにあるみたいで。
コレはいい問題だった、なんでアレが解けなかったんだ、など公演を思い出していた。
記念にとアプリでグループを作った。
ほかの公演に行く誘いや報告、謎を出し合ったり助けてもらったり。
そんな事に使ってください、と有難く参加させてもらった。

お開きになると散り散りに帰って行った。
私達は駅に向かい歩きながら余韻に浸っている。
「私、兄者さんの名前、普通に連呼してましたよね。気付いた時にはもう何回も言ってて、ごめんなさい」
「あぁ。気にすんなよ。バレてなかったわけだし。それに世の中兄者なんて溢れてんだぜ？」
「そうですけど…」
兄者さんが有名人だって事忘れてた。
顔出しだってしてないんだから、素性がバレたら大変。
写真なんて撮られたら一気に広まってしまう時代だ。
彼は気にしてないようだけど…。
外へ出る時は気をつけよう。

「それにしても謎もストーリーも、スタッフもしっかりしてたなぁ。抜け目無いっていうか」
「はい、世界観が出来てて素晴らしかったです！」
「また行こうな」
「…は、はい！」
さり気なく誘ってくれてドキドキしちゃった。
俺もハマっちまったなー、って言ってる。
次はどの公演に行きましょうかね、兄者さん…。

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