ミセス ナシゴレン

44 可愛い仕草 ページ45

Aが猫見に来るよ、と鉄塔さんがドンさんに話したそうな。
もちろん兄者さんがいる事も。
そりゃ阻止しに来るよね。
兄者さんの事だけ気にしてれば大丈夫だと思ってたのに、ドンさんまで来るなんて。
申し訳ないが、少し鉄塔さんを恨んだよね。

ドンさんは隣に座ってきて、私は兄者さんと挟まれる形になった。
あれ、なんか、お二人睨み合ってませんか…？
どうしようと思っていると早助が私に擦り寄って来た。
お、もう大丈夫？
手を差し出すと頭突きしてくれる。
「へぇA、もう懐かれたんだねぇ」
「俺が教えたからな」
「ふぅ〜ん…」
あぁぁ、またバチバチしてるぅ(汗)

「退助〜、出ておいで〜」
臆病者のキジトラ退助。
鉄塔さんが呼んでも、警戒して出てこないみたい。
「鉄塔さん、おやつで釣ってみませんか？」
「あ、持ってきてくれたやつ！やってみようっ」
おやつを差し出すと匂いを嗅ぎ出した。
お、食いついたかな？
ゆっくり顔に近付けると鼻がヒクヒクしてるのが分かった。
首だけ伸ばして顔が前に出てる状態。
おやつをゆっくり遠ざけると顔が付いてくる。
どんどん遠ざけると釣られてケージから出てきた。
人様の作戦に、退助はまんまと引っかかった。

それから猫達は気を許してくれて、私達とオモチャで遊んでくれるまでになった。
兄者さんとドンさんは慣れた手つきでオモチャを操る。
猫達は夢中で遊んでいる。
スマホのカメラを起動して、私は夢中で猫達を写真に収めた。
猫達の可愛い仕草を撮ってるつもりなんだけど、どうしても二人が写ってしまう。
その表情がなんとも言えない。
今まで見せた事のない顔というか…。
猫と鼻キスしてる兄者さんとかもう鼻血モノ。
ドンさんも頭に猫乗っけて、可愛すぎでしょ。
あれ、飼い主の鉄塔さんはパソコンに向かって仕事に夢中みたいだ。

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