ミセス ナシゴレン

4 二匹の子猫 ページ5

鉄塔さんはお茶とジュースの大きなペットボトルを用意して好きなの飲んで、とコップをくれる。
お土産のお菓子を開けて、今からミーティングを始めようとしている。
すると玄関の方から可愛らしい鳴き声が聞こえた。
振り向くと玄関脇にケージがあり、そこから二匹の子猫がこちらを覗いている。
きゃわわっ！
そうだ、最近鉄塔さん猫を飼い始めたんだっけ。
名前は早助と退助だったかな、動画で言ってた。
騒ぎ立てるし食べ物の匂いもして来たから気になって覗いてるんだろう。
「まだ人馴れしてないんだぁ」
ケージから出て遊んでくれるようにはなった、と鉄塔さんは教えてくれた。
猫好きの私。
早く慣れてもらって一緒に遊びたいなぁ…。
猫はさておき、ミーティングをしなきゃね。

パートとメンバーは決まったから曲だよね、ってことで。
コピー？カバー？作曲？
みんな忙しいからコピーだよね、と決まった。
次は、どのバンドのコピーをするかだ。
世代からしてユニ◯ーン？ハイ◯タ？ハス◯ン？ミッ◯ェル？
なんてズラズラ出てきますが。
パートの編成とボーカルのキーからミス◯ルに決定した。
名曲いっぱいあるし、楽しみだ！
１人１曲コピーしたい曲を選ぶ事になったけど曲数が多いので、これは宿題になった。
バンド名は響きから『ミセス ナシゴレン』と命名した。
集まれそうなスタジオを検索して、合わせそうな曜日と時間を確認する。

「大体決まったね。とりあえず曲選んで覚えなきゃだ！」
と締めたおついちさんは、ほら帰って選曲！と解散させる。
残ったのは住人の鉄塔さんと、猫好きの私とドンピシャさん。
「はぁ〜ん、可愛ゆすゆす〜」
「きゃわたんですねぇ〜」
ドンピシャさんは実家で飼っていたので扱いに慣れているようだ。
オモチャを巧みに操ると猫達は釣られてケージから出て来た。
揶揄うように私の周りをグルグルと遊ばせる。
「ドンピシャさん！私で楽しんでるでしょ！」
バレたかぁ〜って、悪びれる素振りは無い。
けど私も鉄塔さんも猫達と戯れられて、それはドンピシャさんのおかげだって分かってた。

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