ミセス ナシゴレン

12 ハイボール ページ13

両頬に手を当て目を瞑り、思いの丈を兄者さんにぶつけた。
「大好きです…」
テーブルがしーんとする。
あれ？やっちゃったかな、私…。
ちらっと兄者さんを見る。
口を手で押さえている。
吐き気を催すほどですか…。
すみません、と言いかけた時だった。
「大好きとか、そのテンションは告白みたいでヤバイ…」
そう言う彼の顔はちょっと赤らんでいる。
少しばかり照れているんだろうか、それでもクールでカッコイイ…。
「ごめんなさい。こんな機会無いんで、つい…」
私、今絶対顔真っ赤だ。
「見てるこっちが恥ずかしいわっ！」
とおついちさんが飲め飲めと囃し始めた。
私も飲んで誤魔化そうと二杯目を頼んだ。

「おー、可愛いの飲んでんなぁ」
兄者さんにもツッコまれた…。
「お酒弱いんです！チョコやコーヒーが好きなんで飲んでるんです！」
「Aちゃんお酒弱いんだぁ？」
「そーいえば飲んでるとこ見た事ないなぁ」
ぺーさんと鉄塔さんがセッ◯スオンザビーチを飲みながら言う。
「てかカルーアってアルコール強いぜ？」
「へ？兄者さん何言ってるんですかぁ？そんなわけ…」
「いやいや、強いからこのサイズなんだぜ？」
え！？そーなの！？
飲む時は結構グビグビいっちゃうけど…。
「もしかして酒強いんじゃね？これハイボール、飲んでみる？」
は、はいっっっ！？
兄者さんのグラスに口をつけるんですか！？
おい、A早く飲め！
い、いや、恐れ多い…。
なんの為にさっきから酒で誤魔化してんだ！
…の、飲みます、いただきます…。
「うぇ、苦いです…」
「ふはっ、ひでぇ顔w」
みんなに笑われた。
「次コーラで割ってるコークハイボールってヤツ頼むから。これより甘くて飲みやすいはずだぜ。飲んでみ？」
ま、また兄者さんの飲むんですかぁっ！？

「…あれ？美味しい…」
「な？これ普通に美味しいって飲めんなら強いよw」
そうなんかぁ。
こんなに美味しいなら今度からコレ飲もうかな。
頑なにカルーアだけ飲んでたのはなんだったんだろ…。
ありがとうございます、と兄者さんに返したらグビッと喉を鳴らして飲んでいる。
はぁ、一度ならず二度までも間接的に。
ファンに知られたらコロされる…。
意識してるのはどうせ私だけなんだろうけどね。
ということで三杯目はコークハイボールを注文した。

13 社交辞令→←11 キリが無い

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す