49(壱馬side) ページ49
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壱馬side
壱「んー…じゃあこの苺のタルトと、紅茶のシフォンケーキ一つずつ…と、プリンも二つ」
撮影終わり、彼女の家に行く前にケーキ屋に寄る
声でも聞けたらええなって
…あわよくば、少しでも顔見たいなって思って
早く仕事が終わった瞬間、彼女へと電話をかけるとすぐ、柔らかくて優しい声が疲れを癒した
『スプーンお二つお付け致しますね』
壱「ありがとうございます」
上質な店内に響いた控え目のトーン
二つのスプーンを見ると、これから二人で過ごせる時間を連想させ、思わず上がりかけた口角
危ねぇ…笑
今までの人生の中で
一人の女性をこんな風に大切だと感じて
こんな風に温かい気持ちになった事は勿論あらへん
壱「…こんな食われへんか笑」
Aはきっと、壱馬、買い過ぎだよって笑って
でもありがとうって、そう言ってまた笑うんやろな
…あー、はよ会いたい
ケーキの箱を手に持ち、そんな事を思いながらの彼女の家まで足早に向かった
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壱「あれ?」
部屋のインターフォンを鳴らしても無かった応答に、まだ帰ってへんのか、と柵に寄りかかった
何かあったんかな?
と、近くのスーパーへと向かおうとした時
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壱「あ、A」
階段を上り終え、ゆっくりと歩いて来るAは、全く此方の様子に気付かない
重そうな荷物を持つ彼女へと近寄ると、ビクッと肩を震わせて顔を上げた
「あっ…ごめんね?待ってたよね」
壱「ううん、今来たとこやで」
手から荷物を取ると、ありがとう…と小さく呟いた
壱「…何かあったん?」
いつもはしっかりと目を見て話す彼女と
何故か今、目が合わなくて
たったそれだけだけど、気になった
「え?…ううん、何も無いよ」
と言って小さく笑ったAは、ポケットから鍵を取り出して、ガチャガチャとドアを開けた
どうぞ、と迎え入れた彼女とは
やっぱり目が合わなくて
壱「A…」
俺が荷物を置いた後、靴を脱ごうと屈みかけた彼女の肩に両手を置き、顔を覗き込むと
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壱「A…泣いた…?」
そこには、涙の跡を頰に残し、ほんのり充血させた目をした彼女の姿があった
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蘭(プロフ) - スーさん» 初コメントありがとうございます!この作品が大好きだと言って頂けたので、これからも頑張れそうです涙 そう言って頂けると自信がつきます!是非これからの展開も楽しみにして頂けたら嬉しいです(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - hkrさん» 何回も読み直して頂けているなんて…感激です…。長い文章を書いてしまっているため、読むのが大変だと思うので、尚更感激です…涙 これからも頑張りますので、是非楽しんで頂けたらと思います(^^)ありがとうございます! (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます!全て読んで頂けたなんて嬉しすぎます涙 楽しんで頂けているみたいで本当に嬉しいですし、これからも頑張りたいと思えます!是非これからも宜しくお願い致します(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
スー(プロフ) - 初コメントです!いつも、楽しくよませてもらってます!この作品大好きです!これからも頑張ってください! (2019年11月18日 7時) (レス) id: d70ff03ee4 (このIDを非表示/違反報告)
hkr(プロフ) - 更新ありがとうございます! 蘭さんの作品が好きで何回も読み直してしまいます(●´▽`●) これからも更新頑張ってください! いつも楽しみにまってます(´∀`)!! (2019年11月18日 4時) (レス) id: 6c0b67dbf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2019年5月26日 22時