18(壱馬side) ページ18
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壱馬side
事務所の近くには、陸さんや海青達がよく行く焼肉屋、北人や翔吾が空き時間に行くピザ屋など
迷ってしまうくらいに沢山の店が溢れてる
その中でも佐野珈琲は、裏路地に隠れた小さな名店
北「哲也さんとか、よく通ってるって言うよね」
壱「んな、インスタとかではアメコやけど
それより通ってんちゃう?」
北「バレないようにね笑」
この世界にいる限り、プライベートという時間をとるのはなかなか難しくて
自分という存在が必要とされる事の嬉しさの中に、たまにほんの少しの嫌悪感が入り混じる
壱「癒し、欲しくもなるわな…」
北「ん?」
壱「いや…」
自分で踏み出した一歩は、他人に引き戻されるよりも、後戻りするのは難しい
まあ、後戻りする暇なんてないくらい、突き進んでいかなあかん時なんやけど…
そんな日常に、一つくらい癒し求めても
バチは当たらへんやろ…?
" ____貴方を、知りたいの "
そう言って顔を赤らめる彼女を思い浮かべて、緩みそうになった頰に力を入れた
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ドアベルを鳴らし、店の戸を押して中へ入ると
一瞬で、珈琲の香りに包まれる
「いらっしゃいま…!」
カウンターテーブルの奥で、緩く纏められたポニーテールを揺らし、彼女が振り向く
壱「二人で」
大きな目を更に大きくして、コクコクと頷く
北「壱馬に女の子の知り合いなんて居たんだ」
壱「うるさいわ」
内緒話のようにそう告げる北人を小さく小突く
「…?」
水のコップを二人分、カウンターにコトリと置きながら、Aは小さく首を傾げた
…危ない、聞かれるとこやった
彼女の前ではカッコいい男で居たいと願う
そう思うのは、きっと彼女が、優しい雰囲気の中に、どこか人を寄せ付けないような凛としたオーラを纏っているからで
出会った瞬間、
そんな彼女に見合う男で居たい、と。
北「吉野北人です、宜しくね」
「あ、どうも…」
北「名前なんて言うの?」
「Aです」
北「A!綺麗な名前!」
頬杖をつき、上目遣いでそう言う北人
壱「…困ってるやろ」
もっと知りたい、と欲深い本能のまま、余裕を見せようとしていた自分が、一瞬で消える
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蘭(プロフ) - スーさん» 初コメントありがとうございます!この作品が大好きだと言って頂けたので、これからも頑張れそうです涙 そう言って頂けると自信がつきます!是非これからの展開も楽しみにして頂けたら嬉しいです(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - hkrさん» 何回も読み直して頂けているなんて…感激です…。長い文章を書いてしまっているため、読むのが大変だと思うので、尚更感激です…涙 これからも頑張りますので、是非楽しんで頂けたらと思います(^^)ありがとうございます! (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - みっちゃんさん» コメントありがとうございます!全て読んで頂けたなんて嬉しすぎます涙 楽しんで頂けているみたいで本当に嬉しいですし、これからも頑張りたいと思えます!是非これからも宜しくお願い致します(^^) (2019年11月18日 19時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
スー(プロフ) - 初コメントです!いつも、楽しくよませてもらってます!この作品大好きです!これからも頑張ってください! (2019年11月18日 7時) (レス) id: d70ff03ee4 (このIDを非表示/違反報告)
hkr(プロフ) - 更新ありがとうございます! 蘭さんの作品が好きで何回も読み直してしまいます(●´▽`●) これからも更新頑張ってください! いつも楽しみにまってます(´∀`)!! (2019年11月18日 4時) (レス) id: 6c0b67dbf3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2019年5月26日 22時