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家まで、周りを警戒しながら歩みを進めていく
あの日…壱馬に全てを打ち明けた日から、恭介の存在が、音を立てて近付いて来る感覚で。
いつものスーパーから家までの帰り道
あの男は現れた。
じゃあ、もしかしたら近くに住んでる…?
そう思い始めると、嫌な予感がどうしても頭から離れなくなってしまった
「…よし」
周りに誰もいないことを確認して鍵を開けて、中に入ると、ようやく緊張がほぐれて、ベットへと倒れ込む
「はぁー…」
大きく溜息をつくと、「幸せ逃げるで」と、困ったように笑う壱馬が思い浮かんで、自然と顔がほころんだ
_________今何してるん?
押し寄せた疲れに手放しかけた意識の中、キャッチーなメロディが、メッセージを知らせる
_________壱馬のこと考えてた。
指を滑らせて作り出したメッセージを、何の迷いもなく送信すると、既読、のまま返事は来なかった
楽な部屋着に着替えて、昨日作り置きしておいたカレーを温めて、静かな部屋で手を合わせる
「いただきます」
静かな部屋で一人、食事をすることは慣れたけれど、" 寂しいかも " なんて感情がふと湧き上がるのは
きっと、一人じゃないってことを知ったからだと思う
自分が一人じゃないってことは、一人の時間に分かる
__ピンポーン
「……」
…恭介、じゃないよね…
あれだけ警戒したもの。大丈夫…なはず。
平常心を保ってみても、バクバクと音を立てる心臓と、じわじわと滲む冷汗が、過去のトラウマを思い出させる
コンコン、とノックされたドアを見つめ、動けずにいると
壱『A』
耳に馴染む、心地の良い甘い低音が届き、吸い込まれるように扉を開けた
壱「悪い、何かしとった?」
少しだけ困った顔をした彼は、片手で、ごめん、のポーズを作って私の顔を覗き込んだ
何も言えず、色々な感情が込み上げてくる
手を引いて玄関へと引き込むと同時に、彼の温かい胸に、身体を寄せた
「何もしてなかったよ」
腰元に腕を回し、ぎゅっと力を込める
壱「…今日のAは甘えたさんやなぁ」
そう言って肩を抱きながら、頭を撫でる壱馬と。いつまでも離れたくないと、本気で願ってしまう
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蘭(プロフ) - かほさん» かほさん、コメントありがとうございます🤍待ってて下さってすごく嬉しいです…!もう誰も読まないだろうな…と思いながら気分転換に続きを書いてみたので、嬉しくて涙がほろりです🥲引き続きゆっくりとですが頑張りますので、よろしくお願いします!✨ (1月5日 20時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 蘭さん、更新ありがとうございますッッッ✨通知思わず二度見しちゃました!(笑)朝から良いことあって今日も頑張れそうです😆 (1月5日 6時) (レス) id: d126506225 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - ありさんさん» 1年越しのお返事となり、申し訳ございません…!今でも待って下さっているか分かりませんが、ありさんが読んで下さってすごく嬉しいです!ノロマ更新となりますが、引き続きお楽しみにお待ちいただけるとすごく頑張れます🥲🩵ありがとうございます!! (1月4日 23時) (レス) @page35 id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - キュンキュンしたり、うるっときたりで読んでいて楽しく、一気に読んでしまいました😆更新楽しみにしてます♥ (2022年9月25日 12時) (レス) id: 2acd1872cc (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - かほさん» かほさん、ありがとうございます!とても温かい言葉をいただけて嬉しいです🥲❤︎これからも楽しんでいただけるように頑張りますね!🤍 (2022年5月10日 22時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘭 | 作成日時:2019年11月18日 19時