69 ページ20
.
.
.
「…」
北「…」
何ていうか…気まずい。
一人分置かれた距離は、
まるで心の距離を表しているかのようだった
半歩後ろを歩く私を確認しながらも、特に何を話すこともなく進んでいく彼。
「北人君」
沈黙を遮るように名前を発すると、ん？と振り返って、歩くペースを揃えてくれた
「私だって、よく分かったなって思って」
ジャージに帽子、すっぴんにマスクという恥ずかしい格好にも関わらず、通りすがった北人君は気付いてくれた
北「あー、女の子ってそういうの気にするらしいね」
「まぁ、そうですね…」
北「綺麗な目の人だなーと思ったら
Aちゃんだった」
「え、これで？」
北「うん。いつも綺麗だけどすっぴんも可愛い」
「…！」
北「…ふふ笑」
反応に困る私を見て、目を細めて笑った大きな瞳の持ち主に、手の上で転がされたことを悟る
「からかわないで下さい」
北「からかってないよ？本当のことだもん」
「絶対嘘ですね？」
北「俺嘘はつかないよ」
恨めしそうな目で彼を見てやると、
何だか上機嫌そうにまた笑う北人君が居た。
北「此処分かる？？」
「わ！いつもの道だ！！」
北「良かった、分かるみたいだね
あ、ちょっとだけ待ってて」
いつの間にかいつも通っている道が見えてきて、ぐるりと見渡し感動していると、一言残して姿を消した
声を掛ける暇もなく、
本当に、気付けば居なくなった北人君
すると、コンビニ袋をぶら下げてすぐに戻ってきた
北「はいこれ」
袋を持った手を、ぐいっと私に突き出した
「…？」
戸惑いながらも受け取り、中を見ると
苺とホイップのサンドイッチと、カフェラテ。
北「朝ごはん。ちゃんと食べるんだよ」
「そんな、わざわざ…」
北「じゃあまたね」
「あ、ありがとうございました！」
小さく手を挙げた彼に頭を下げると、何だかまた上機嫌そうな顔をして、去って行った
.
何を考えているか分からなくて、ちょっぴり苦手かも、だなんて思ってしまっていたけれど
本当は少し口下手な、優しい人なんだろうなって
そんな風に思えた、爽やかな風が吹く朝だった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4422人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蘭(プロフ) - かほさん» かほさん、コメントありがとうございます🤍待ってて下さってすごく嬉しいです…！もう誰も読まないだろうな…と思いながら気分転換に続きを書いてみたので、嬉しくて涙がほろりです🥲引き続きゆっくりとですが頑張りますので、よろしくお願いします！✨ (1月5日 20時) (
レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
かほ(プロフ) - 蘭さん、更新ありがとうございますｯｯｯ✨通知思わず二度見しちゃました！（笑）朝から良いことあって今日も頑張れそうです😆 (1月5日 6時) (レス) id: d126506225 (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - ありさんさん» 1年越しのお返事となり、申し訳ございません…！今でも待って下さっているか分かりませんが、ありさんが読んで下さってすごく嬉しいです！ノロマ更新となりますが、引き続きお楽しみにお待ちいただけるとすごく頑張れます🥲🩵ありがとうございます！！ (1月4日 23時) (レス) @page35 id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
ありさん(プロフ) - キュンキュンしたり、うるっときたりで読んでいて楽しく、一気に読んでしまいました😆更新楽しみにしてます♥ (2022年9月25日 12時) (レス) id: 2acd1872cc (このIDを非表示/違反報告)
蘭(プロフ) - かほさん» かほさん、ありがとうございます！とても温かい言葉をいただけて嬉しいです🥲❤︎これからも楽しんでいただけるように頑張りますね！🤍 (2022年5月10日 22時) (レス) id: 9208e0cc5d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：蘭
| 作成日時：2019年11月18日 19時
