lie or real？【Kazuma.K】

ねぇ、はやく ページ9

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壱馬がいた。


スーパーに行く途中の横断歩道。

一日中、降ったり止んだりしていた雨に濡れた道の向こう。

壱馬は向こう側にいて、メンバーさんと一緒に笑ってた。



壱馬とは1度も目が合わなかった。

こっちを、私を見てはくれなかった。


やっぱり壱馬は私のことなんか忘れてるんだ。


そりゃあそうだ。

あんなにかっこいい壱馬の周りには可愛い子なんてたくさんいる。


わかってた。

どう頑張っても私は壱馬には届かない。


諦めるしかないんだ。


そう思って何も言わず通り過ぎた。

私が傷つかないために。



はぁ、とため息をついて、綺麗に並べられた野菜に目を落とす。



そんな時、ポケットの中でスマホが鳴った。








   @makoto.hasegawa.official





お疲れ様です、THE RAMPAGEの長谷川慎です。
いつもダンス動画見させて頂いています。

lieさんって、壱馬さんの幼なじみさんですよね








ツーっと背中に冷や汗が伝うのがわかった。


なんでバレた？

壱馬が言った？

いや、壱馬は私の正体を知らないはず。

ネットで晒された？



なんでバレたの、？



と、またすぐに“入力中”の文字が浮かぶ。








僕しか気づいてないと思うので安心してください。








長谷川くんしか気づいてない。

安心できた反面、ちょっと複雑に思った。


長谷川くんだけなんだ。

壱馬は気づいてないの？

同じグループなのに？






「早く気づいてよ、……。」






ふと、斜め前の方から視線を感じた。

視線を辿ると女子高校生が何人かいた。

その子たちは私と目が合うと、嬉しそうにはしゃきはじめた。



そういえばLIVEで、







『プライベートで見かけても声かけないでください』


『気付けー、って視線送って貰えるとすぐ気づくので、笑』


『遭遇情報とかも出さないで頂けるとありがたいです』






……とか言ってた気がする。

その約束、ちゃんと守ってくれたんだ。

嬉しい。


チラッと女子高校生たちの方を見ると、その子たちは嬉しそうに顔を見合せた。

そして約束通り、ふわっと笑いかけて手を振った。









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