手の届かない存在 ページ4
.
「じゃあ休憩挟むよ。コンビニ行きたい人今行ってきて」
LIKIYAさんのその言葉で、張り詰めていた空気が一気に緩む。
慎と翔平なんて、もうスマホ見てる。
「壱馬さん！lieさんですよ！動画！インスタ！」
翔平がスマホを持ってこっちに来た。
スマホにはlieさんのInstagramの投稿画面が表示されている。
投稿時間は数分前。ダンス動画。
@____.lie
tried dancing
music : GO ON THE RAMPAGE / @the_rampage_official
いつの間にか、16人全員でスマホを囲む。
翔平が再生すると力強いKRAMPを踊り始めるlieさん。
……この踊り方。この身体の使い方。
俺には見覚えがある。
「……なんかlieさんの踊り方、壱馬さんに似てますね」
「え、俺も思った」
違う。
俺がこの人に似てるんだ。
lieさんは基本顔出しNG。
スマホの画面の中でも、マスクにバケハ。
テレビの画面の中でも、敢えて逆光にして顔を隠している。
でも、唯一LIVEでは顔を出している。
綺麗な髪の毛をなびかせて、力強く、かつ繊細にステージで踊る姿を見た。
やっぱり、変わってなかった。
小さかった時のAと、ステージの上で踊る、どう足掻いたって手の届かない様な存在になってしまったAと。
顔が見えなくても俺にはわかる。
『かーずーまー』
MCで喋る時の声が似てる、
『KRAMP教えてあげよっか?』
あの踊り方が昔のアイツと似てる、
『そう。で、この時、』
俺が教えてもらった身体の使い方と似てる、
『壱馬は歌が上手やねぇ』
よく一緒に歌ったあの歌い方が似てる、
『なぁそれはあかんて、笑』
顔から下しか見えないけど、雰囲気が似てる、
『私、引っ越すことになってん、』
あの人に会いたい____。
「……ぃ、おーい。壱馬さーん」
「っ、どしたん」
「どしたん、はこっちのセリフですよ」
「壱馬がlieさんにがっつかないなんて珍しいですね」
「そうかな、(笑)」
ふとスマホの画面に目を落とす。
あぁ、すっかり変わってしまった。
もうあの時の俺らじゃない。
そもそもAは俺の存在に気がついているんだろうか。
また昔みたいに、笑い合える日が来るんだろうか。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1061人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
L(プロフ) - katayose08さん» コメントありがとうございます！わわわ！お誕生日おめでとうございます！このコメント見て私もにやけました(笑) なんて偶然……！壱馬さんにエメラルドグリーン貰っちゃってくださいっ(はーと) これからもよろしくお願いします！ (2020年6月7日 20時) (
レス) id: c720a73cf9 (このIDを非表示/違反報告)
katayose08(プロフ) - コメント失礼します！実は私今日誕生日で…(だから何って感じですみません)まさか好きな作品でこんな偶然…奇跡があるなんて思わなくて1人悶えてます…！いつも応援してます！これからも頑張ってください！ (2020年6月7日 19時) (レス) id: c639772b61 (このIDを非表示/違反報告)
L(プロフ) - おしおさん» コメントありがとうございます！わわ！そう言っていただけてめちゃくちゃ嬉しいです(涙) 更新頑張ります！よろしくお願いします！ (2020年6月4日 12時) (レス) id: c720a73cf9 (このIDを非表示/違反報告)
おしお - めっちゃ面白いです！これからも更新頑張ってください！体調、お気を付けてください(^-^) (2020年6月4日 11時) (レス) id: 9ab6e33145 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：L
| 作成日時：2020年6月3日 10時
