家族ゲーム Episode 0 Part 2 (ページ9)

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第57話「家族を救う唯一の鍵」ページ9

部屋から出て帰ろうとする吉本の腕を和也が掴んだ。
和也「何が目的だ？」
和也は警戒心をむき出しにしている。
吉本「いいねぇ、その表情。不安でたまらないって、顔に思いっきり書いてあるよ」
和也「ふざけるな、質問に答えろ」

吉本は手を振りほどくと、和也に人差し指を向けた。
吉本「お前を監視するためだよ、余計なこと探られないようにな」
和也「探られたくない過去でもあるのか？」
家庭教師は今度は親指を出し“グー”のポーズをとると、その場を後にした。

夜八時を過ぎたころ、ようやく大島家にも家庭教師がやってきた。
吉本「ゴメンね、遅くなって」
優子「いえ…」
吉本「どうしたの？元気ないけど」
先日の一件以来、大島家はバラバラになっている。
まだ食事は麻里子が用意してくれるが、それを家族全員で食べることは無い。
それぞれが食べたいときに食べている。

優子「もう、何もかも辛くなってきました…」
吉本は彼女を見つめると、優子の肩を掴んで正面から話した。
吉本「優子、お前が家族を救え」
優子「え？」
吉本「名前の通り、“優しい子”のままでいろ、それがお前や家族を救う力になる」
優子「それってどういうことで…」
ちょうどそのとき、潤が部屋のドアを開けた。

潤「先生、ちょっといいかな？」
吉本「ええ…」