家族ゲーム Episode 0 Part 2 (ページ8)

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第56話「生徒名、二宮珠理奈」ページ8

家族面談も終わり、新しく担当することになった家庭教師は
生徒の部屋を携帯のカメラで撮影していた。
珠理奈「そ、そんなに撮らないでくださいよ…」
本人はずっとモジモジしている。

吉本「いいねぇ、女の子っぽい部屋だ」
珠理奈「そうですかぁ？うれし～なぁ～」
珠理奈は両手を頬に置き、顔を赤らめた。

吉本「で、何を俺から教わりたいんだ？」
吉本は珠理奈のベッドに腰を下ろし、ようやく本題に切り替えた。
珠理奈「え？」
吉本「俺を雇うってことはそれなりの目標があるんだろ？」
珠理奈「あ…」
実を言うとそこまで考えていなかった。
ただただ、吉本に会いたい。その一心で言ってしまった方便なのである。

珠理奈「先生に会いたかったから…、じゃあダメですか？」
珠理奈もベッドの上に腰を下ろし、吉本の目を見る。
珠理奈「アタシ、先生のことがホントに好きなんです」
吉本「いいねぇ…」
すると吉本は突然、珠理奈をベッドに押し倒した。

珠理奈「キャッ！」
吉本「じゃあ、俺がこんなことやってもいいわけだ？」
しばらくの間があったものの、珠理奈は小さく頷いた。
珠理奈「いいよ、先生が私を好きになってくれるなら…」

しかし吉本はすぐに体を起こし、立ちあがった。
吉本「珠理奈、俺はお前に“人間”ってものを教えてやる。
　それは学校なんかでは絶対に教えられないものだ。
　人間の本性、感性、すべてをお前に教えてやる。じゃあな」
そう言い残し、一日目の授業は早くも終了した。

部屋に取り残された珠理奈の心臓の鼓動は、ものすごい速さで動きっぱなしだった。
珠理奈「よ、呼び捨てにされちゃった…」
再び両手を頬に置いてニヤつき始めた。