家族ゲーム Episode 0 Part 2 (ページ5)

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第53話「誰も気付かぬトラップ」ページ5

翌朝。
大島家では誰も口を交わすことも無く、優子、麻友、潤はそれぞれバラバラに家を出た。

優子「あ、今日雨降るんだった…」
優子が傘を忘れたことに気付いたのは、家を出てから1時間後
駅前の漫画喫茶の前に着いた時だった。

遥香「えっ、それじゃあ今朝は誰も口聞かなかったの？」
麻友「うん」
麻友は昨日の出来事を、洗いざらいすべて珠理奈と遥香に話した。
遥香は真剣に聞いているが、珠理奈は上の空だった。

遥香「ちょっと、珠理奈、珠理奈！」
珠理奈「へっ！？あ、ゴメン…」
遥香「どうしたの、珠理奈？何か今朝から様子が変だよ？」
珠理奈「うん、ちょっとね」
ニヤニヤしながら話してくる。
遥香が麻友の方に目線を変えると、麻友の表情は“無”という言葉がふさわしい位の無表情だった。

？「…長、部長！」
誰かが呼ぶ声がした。
目の前には、部下の高橋雅紀が立っている。
ようやく自分の事だと気付いた潤は、「あ？」となんとも間抜けな声を出してしまった。
雅紀「聞いてました？」
潤「ああ、スマン…」
雅紀「ですから、この書類にハンコをお願いします」
潤「ああ…、分かった」
この日の潤は仕事に集中しておらず、敦子のことばかり考えていた。

麻里子「あれ…？」
ゴミ出しに行くと、そこには普段はやって来ない松井玲奈がいた。
玲奈「あ、おはようございます！」
麻里子「おはようございます…、どうなさったんですか？」
玲奈「いや、全然来れてなかったのでお詫びにと思って…」
気付くと周りはすべて、キレイに掃除されてある。
普段からそうすればいいのだが。

玲奈「それであの…、またしばらくは参加出来ないんですけど…」
麻里子「はあ…」
玲奈「本当にすみません！今度絶対お詫びをいたしますので！」
そんなものは最初から期待していない、と心の中でさげすむ麻里子だった。