家族ゲーム Episode 0 Part 2 (ページ34)

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第82話「再会」ページ34

高橋家の前に吉本はいた。
優子が遠くからようやくやってくる。

優子「先生…、早いですって…」
家庭教師は彼女の言葉に耳を傾けることも無く、高橋家をただただ見つめいていた。
優子「あの、本当に行くんですか…？」
吉本「お前だって本当は気付いてんだろ？彼女がいじめの主犯格じゃないことぐらい」

確かに優子にも思い当たる節がいくつかある。
だが何故みなみが自分と友美のことをいじめてきたのか。
その理由がいくら考えても分からなかった。

吉本「分からないだろうなぁ、お前みたいなやつには…」
優子「それってどういう…」
優子が話し終える前に、吉本は躊躇もせずインターホンを押した。

雅紀「はい？」
若い男性の声がする。
吉本「こんばんわ、わたくし家庭教師の吉本と申しますが。
　高橋みなみさんいらっしゃいますでしょうか？」
雅紀「はい、ちょっと待っててください」
インターホンは切れたが、家の中から「みなみ～！」と言う声が聞こえた。

みなみが下りてくるのを待っている間、吉本は優子に少し離れた所にいるように指示した。
優子「なんで？」
吉本「いいから！お前がいたら彼女も下りてきにくいだろ…」

数分後。
ようやく高橋家のドアが開かれた。
吉本「みなみちゃぁ～ん、こんばんわ」
みなみ「どうも…、今日は何ですか？」と不審そうに吉本を見るみなみ。
彼女の姿は以前とは違い、少しやせているようで体の色も少し悪かった。
吉本「今日は君に会わせたい人がいてねぇ」
みなみ「“会わせたい人”？」
吉本「もう出てきていいぞ」
吉本が言うと、電柱の陰から優子が姿を現した。

みなみ「優子…！」
優子「久しぶり…」
みなみは彼女の姿を見ると、家の中に戻ろうとした。
しかし彼女の腕を吉本が掴んで引きとめる。
吉本「逃げるな、しっかり真正面から向き合え」
そしてその腕を優子の方に引っ張っていき、2人っきりにさせた。

優子「久しぶりだね、みなみ…」
しかし、みなみは一向に口を開こうとしなかった。
優子「あ、あのさ…」
別の話題を切り出そうとした時、ようやくみなみの口が開いた。

みなみ「ゴメンね…」
一言言うと、彼女の目から涙が零れた。