家族ゲーム Episode 0 Part 2 (ページ19)

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第67話「柏木の過去」ページ19

柏木「やっと起きた」
不思議な笑みを浮かべる柏木。
柏木「私ね、生徒のことなんてどーでもいいんだわ。
　ぶっちゃけ、ここで生徒や先生たちの話を聞いているのも
　仕事だから仕方なくやってるだけ」
柏木は淹れてあったコーヒーを飲みだした。

優子「そうなんですか…」
こんなことが学校中に知れ渡ったら
おそらく生徒や教師たちは、ほとんどがパニック状態になるだろう。
柏木が自分たちの話を聞いてくれていたのは
単なる仕事、ビジネスとしか思ってなかったのだから。

柏木「でもさ、アンタみたいに現実から逃げて
　そうやって“誰とも関わりたくないオーラ”を出しているヤツ見るとイライラするんだよね」
優子「えっ…？」
柏木はコーヒーが入ったマグカップを優子に渡した。

柏木「私ね、中学の時、いじめられてたんだ」
まさかこんな彼女も、いじめの被害に遭っていたなんて思ってもみなかった。

柏木「中学の時はね、目が悪くてメガネを付けてたんだけど、そのメガネが丸メガネでさ、
　おかげで付いたあだ名が“メガネザル”。ひどくない？女の子にそんなあだ名さぁ。
　しかもあだ名だけだったらまだよかったんだけど
　中学生ってちょうど女の子って体が成長する時期でしょ？
　だから男子には胸をもまれ、女子からは体操服をビリビリに破られて、もう散々だった。
　何度も死のうとした。ホラ見て」
そう言って、彼女は左手首にある傷跡を見せてきた。

柏木「これ全部、手首切った跡」
優子は思わず目を見開いた。
柏木「何度も何度も、自分を傷付けて、現実から逃げようとしたの。
　でもね、ある日ある人に言われたんだ。
　『その心の痛みから逃げずに、正面から受け止めてごらん』って。
　最初は意味分からなかったんだけど、
　そのうちこんな私でも理解してくれる人がいるって気付いてね。
　それで私決めたの、もう逃げないって。どんな困難にも負けないって」
優子は真剣に柏木の話を聞いていた。

柏木「だから、アナタも負けないで。ねっ？」
ちょうどそのとき、2時間目の終了のチャイムが鳴った。